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文献詳細

雑誌文献

胃と腸58巻8号

2023年08月発行

文献概要

今月の主題 十二指腸拡大内視鏡の最新知見 主題症例

非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍との鑑別診断に拡大観察が有用であった十二指腸異所性胃粘膜の1例

著者: 高橋亜紀子1 小山恒男1 塩澤哲2 下田忠和3 太田浩良4 荒川愛子2

所属機関: 1佐久医療センター内視鏡内科 2佐久医療センター臨床病理部 3静岡がんセンター病理診断科 4信州大学医学部保健学科生体情報検査学

ページ範囲:P.1072 - P.1076

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要旨●十二指腸3rd portionに,ほぼ境界明瞭な発赤陥凹を認め,内部に白濁した絨毛様構造が散在していた.NBI拡大観察にて,大小不同なvilli様構造が低密度に存在し,背景粘膜との境界は不明瞭であった.一部のvilliは辺縁が白濁し,white zoneが不均一に肥厚していたが,陥凹部では整形なpit様構造を認めた.腫瘍と非腫瘍を示唆する所見が混在していたが,villi様構造の大小不同とwhite zoneの不均一な肥厚を優位と判断し,小腸型の高分化管状腺癌と診断した.underwater EMRにて一括切除したところ,病理組織学的には異所性胃粘膜であった.white zoneが不均一に肥厚したvilli部の深部にはCDX-2陽性,MUC2陽性の腺管があり,表層部では一部CD10陽性で,異所性胃粘膜内に発生した小腸上皮化生と診断した.retrospectiveに検討すると,陥凹部に整形のpit様構造が認められたことから,異所性胃粘膜と診断することは可能であったと考えられた.十二指腸の陥凹型異所性胃粘膜は極めてまれな病変だが,十二指腸に発赤陥凹を認めた場合は,本疾患を念頭に置いて,鑑別診断を行うべきと思われた.

参考文献

1)Genta RW, Kinsey RS, Singhal A, et al. Gastric foveolar metaplasia and gastric heterotopia in the duodenum:no evidence of an etiologic role for Helicobacter pylori. Hum Pathol 41:1593-1600, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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