胃と腸59巻2号

2024年02月発行

今月の主題 大腸ポリープのすべて 主題

—大腸非上皮性ポリープの鑑別診断—腫瘍性ポリープ—内視鏡診断の立場から

著者： 佐野村誠¹ 山田達明¹ 辻沙也佳¹ 冨永真央¹ 松尾奈々子¹ 𥔎山直邦¹ 西谷仁¹ 朝山直樹² 永田信二² 中沢啓³ 川上研³ 小木曽聖⁴ 清水誠治⁵ 植田初江⁶ 廣瀬善信⁷ 西川浩樹³

所属機関： ¹北摂総合病院消化器内科 ²広島市立北部医療センター安佐市民病院消化器内科/内視鏡内科 ³大阪医科薬科大学第2内科（消化器内科） ⁴京都中部総合医療センター消化器内科 ⁵大阪鉄道病院消化器内科 ⁶北摂総合病院病理診断科 ⁷大阪医科薬科大学医学部病理学教室

ページ範囲：P.197 - P.210

要旨●大腸の非上皮性腫瘍性ポリープの内視鏡診断のポイントは以下の通りである．発生部位と病変の単発/多発を考慮する．病変の大きさと立ち上がり，粘膜面の評価，EUS所見などから，病変の局在を推定する．生検鉗子などを用いて，硬さを評価する．特徴的な色調から疾患を推察する．表面の性状，境界明瞭/境界不明瞭，陥凹/潰瘍/びらんの有無を観察し，腫瘍露出部があれば拡大内視鏡所見により評価する．さらに大腸粘膜下腫瘍様病変の表面の“不整のない拡張血管”の観察は，内視鏡診断に寄与する可能性がある．

参考文献

1）Lazar AJ, Hornick JL. Mesenchymal tumours of the digestive system：introduction. WHO Classification of Tumours Editorial Board（eds）. In WHO Classification of Tumours, 5th ed. pp 436-438, IARC, Lyon, 2018

2）佐野村誠，西田光志，石原由希，他．大腸腫瘍性病変の内視鏡診断—粘膜下腫瘍様病変（良性・悪性）の診断．胃と腸　55：701-717, 2020

3）清水誠治，三宅清花，川浦由起子，他．下部消化管非上皮性腫瘍のEUS診断—そのほかの粘膜下腫瘍を含めて．胃と腸　47：515-525, 2012

4）佐野村誠．大腸：腫瘍・腫瘍様病変—NET，NEC．松本主之（編）．下部消化管内視鏡診断アトラス．医学書院，pp 198-199, 2020

5）𥔎山直邦，佐野村誠，植田初江，他．Case 4．胃と腸　58：1382-1385, 2023

6）小木曽聖，清水誠治．大腸神経原性腫瘍．消化管症候群IV—その他の消化管疾患を含めて　第3版（別冊日本臨牀領域別症候群シリーズ No.12）．日本臨牀社，pp 121-125, 2020

7）小林清典，小川大志，春木聡美，他．大腸粘膜下腫瘍の内視鏡診断．Gastroenterol Endosc　49：2462-2473, 2007

8）野田哲裕，鶴田修，長田修一郎，他．下部消化管粘膜下腫瘍の診断と治療：総論（2）内視鏡診断．臨消内科　27：1051-1060, 2012

9）川上裕史，竹内洋司，北村昌紀．Case 8．胃と腸　58：1398-1401, 2023

10）佐野村誠，辻沙也佳，内海麻衣，他．特徴的なNBI拡大像を示した直腸肛門部の悪性黒色腫の1例．日本大腸検会誌　37：79-86, 2021

11）酒見亮介，宗祐人，森光洋介，他．直腸に多発した直腸原発低色素性悪性黒色腫の1例．胃と腸，49：1088-1095, 2014

12）中村昌太郎，松本主之．大腸—悪性リンパ腫．八尾恒良（監），「胃と腸」編集委員会（編）．胃と腸アトラスII 下部消化管　第2版．医学書院，pp 671-676, 2014

13）佐野村誠，石原由希，坂口奈々子，他．横行結腸PEComaの1例．胃と腸　54：1561-1568, 2019

14）佐野村誠，佐々木有一，江頭由太郎，他．pyogenic granuloma．胃と腸　48：1198-1199, 2013