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今月の主題 大腸ポリープのすべて トピックス
大腸過形成性病変の臨床および分子病理学的特徴
著者: 上杉憲幸1 菅井有1
所属機関: 1脳神経疾患研究所附属総合南東北病院病理診断学センター
ページ範囲:P.236 - P.243
文献購入ページに移動大腸鋸歯状病変は過形成性ポリープ(hyperplastic polyp ; HP),TSA(traditional serrated adenoma),そしてSSL(sessile serrated lesion)に分類されている1)〜3).現在,HPはMVHP(microvesicular variant hyperplastic polyp)とGCHP(goblet cell-rich variant hyperplastic polyp)に亜分類されており,MVHPとGCHPは組織学的形態と分子異常の観点から区別することが可能である1)〜3).分子学的に,MVHPではBRAF変異が特徴的とされるのに対して,GCHPではKRAS変異の頻度が高いことが指摘されている1)〜3).分子病理学的な所見から,MVHPとGCHPの両者は腫瘍性病変とみなされており,病理学的にも臨床的にも独立した病変であることが示唆されている1)2).
これらのHPと別に,本邦においては大腸の過形成性病変として,過形成結節(hyperplastic nodule ; HN)が独自に認識されている4).HNはGCHPと類似した病理組織像を示し,時として,区別することが困難な場合があることが指摘されてきた4).そのような観点からHNの独立性について疑義を指摘する見解もあった.実際,HNは欧米では独立した疾患としては認識されておらず,HNは欧米の大腸ポリープの分類には取り上げられていない.HNは本邦でのみ認識されてきた本邦独自の病変であるにもかかわらず,HPとHNを区別する診断基準については十分な検討がされてこなかった5).
本稿では,大腸過形成性ポリープと比較を行い,HNの臨床病理学的特徴および分子病理学的特徴について解説する.
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