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雑誌目次

雑誌文献

胃と腸59巻4号

2024年04月発行

雑誌目次

増大号 消化管疾患の分類2024

序説

著者: 松本主之

ページ範囲:P.409 - P.409

 今回の「胃と腸」増大号は,2019年に発行された「消化管疾患の分類2019—使い方,使われ方」の改訂版として,最新の消化管疾患分類法を集約したものである.前回の増刊号は,「胃と腸」誌として初めて「消化管疾患の分類」に特化した企画であったが,消化管を専門とする臨床医や病理医にとって有用な情報を満載したものとして高く評価していただいた.今回は,その後の4年間に新たに提案された,あるいは改訂された分類を含め内容を大幅にブラッシュアップした.up-to-dateな情報を提供できたものと確信している.
 さて,臨床医学においては診療ガイドラインに準じた診断・治療が基本と考えられている.ガイドライン作成の基本となるのはエビデンスに基づいた“分類”であり,“分類”と“診断”はほぼ同義語と考えられる.このように,理論的に構築された“分類”は医学における臨床・基礎研究の集大成と考えるのが妥当であろう.

咽頭・食道 咽頭癌

咽頭癌の病理組織学的深達度を代用するtumor thickness,T分類,肉眼分類

著者: 藤井誠志

ページ範囲:P.413 - P.415

定義
 tumor thicknessは,表在性扁平上皮癌の深達度を代用する病理組織学的因子である(Table 1)1)2).現行のpT因子は腫瘍の大きさと周囲構造物への進展度によって決まる(Table 1).肉眼分類は消化管癌と同様に腫瘍の肉眼的形状で決定される(Table 2).

食道癌

病型分類(食道癌取扱い規約)

著者: 土井智裕 ,   竹内学

ページ範囲:P.416 - P.417

定義
 病型分類とは食道癌の病変の形態を所見として記載するために用いられる分類である.日本食道学会の「食道癌取扱い規約 第12版」では0〜5型(Table 1,2)1)2)に分類される.

壁深達度分類(食道癌取扱い規約)

著者: 根本哲生

ページ範囲:P.418 - P.419

定義
 日本食道学会編集による,「臨床・病理 食道癌取扱い規約 第12版」(以下,規約)に規定されている壁深達度分類(Table 1,Fig.1)1).一種のT分類で,原発巣が達する食道壁構成物の層によって進行度を規定する.

進行度分類(食道癌取扱い規約)

著者: 小野陽一郎 ,   二村聡

ページ範囲:P.420 - P.421

定義
 頸部・胸部食道癌・食道胃接合部癌(扁平上皮癌)を対象とした,T(壁深達度),N(リンパ節転移の程度),M(遠隔臓器および遠隔リンパ節転移)の各因子に基づくステージ分類である.
 なお,食道胃接合部の腺癌では胃癌取扱い規約における胃癌の進行度分類に準ずる.

日本食道学会拡大内視鏡分類(JES-SCC分類)

著者: 石原立

ページ範囲:P.422 - P.423

定義
 日本食道学会拡大内視鏡分類は,2012年に発表された食道扁平上皮癌の拡大内視鏡所見分類である.癌と非癌の鑑別や,癌の壁深達度診断に用いられる.

超拡大内視鏡(Type分類)

著者: 熊谷洋一 ,   川田研郎 ,   田久保海誉

ページ範囲:P.424 - P.425

定義
 Type分類とは,超拡大内視鏡(endocytoscopy ; EC)により捉えられる食道粘膜(扁平上皮)表層の細胞形態の分類である.

側面変形分類(X線診断)

著者: 小田丈二 ,   入口陽介 ,   細井董三

ページ範囲:P.426 - P.427

定義
 側面変形とは,癌(病変)に伴うX線二重造影側面像における消化管壁の変形のことである.

組織型分類(食道癌取扱い規約)

著者: 根本哲生

ページ範囲:P.428 - P.429

定義
 日本食道学会より2022年9月に発刊された「臨床・病理 食道癌取扱い規約 第12版」1)(以下,規約第12版)による食道腫瘍の組織型分類である(Table 1).

組織型分類(WHO分類)

著者: 根本哲生

ページ範囲:P.430 - P.431

定義
 世界保健機関(World Health Organization ; WHO)が発行するWHO Classification of Tumoursに記載されている食道腫瘍の組織分類.最新版は2019年刊行の第5版である(Table 1)1)

占居部位別領域リンパ節分類(食道癌取扱い規約)

著者: 川田研郎

ページ範囲:P.432 - P.433

定義
 2022年9月に改訂された「食道癌取扱い規約 第12版」1)の占居部位別領域リンパ節分類である.

逆流性食道炎

改訂ロサンゼルス分類

著者: 松浦倫子

ページ範囲:P.434 - P.435

定義
 Grade A〜Dで示される逆流性食道炎の内視鏡分類(ロサンゼルス分類,以下,LA分類)1)に,Grade M(minimal change),粘膜異常所見のみられないGrade Nを加え,星原ら2)により提唱された分類である.

アカラシア

食道アカラシアの分類

著者: 小山恒男 ,   高橋亜紀子

ページ範囲:P.436 - P.438

定義
 「アカラシア取扱い規約 第4版」1)では,アカラシアを“下部食道括約筋の弛緩不全と食道体部の蠕動運動の障害を認める原因不明の食道運動機能障害”と定義している.また,食道X線造影所見および内視鏡所見に関して以下のように定めている.
・食道X線造影所見
 食道の拡張・蛇行
 食物残渣やバリウムの食道内停留
 食道胃接合部の平滑な狭小像
 胃泡の消失あるいは減少
 食道の異常運動の出現
・上部消化管内視鏡所見
 食道内腔の拡張
 食物残渣や液体の貯留
 食道粘膜の白色化・肥厚
 食道胃接合部の機能的狭窄
 食道の異常収縮波の出現

食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアの分類

著者: 近藤真之 ,   郷田憲一

ページ範囲:P.440 - P.441

定義
 食道裂孔ヘルニアとは,胸腔と腹腔を隔てる横隔膜に存在する裂孔のうち,食道が通過する食道裂孔を通じて,腹腔内の臓器が胸腔内に脱出した状態であり,多くは胃の一部が脱出する.原因のほとんどが後天性であり,横隔膜食道靱帯の加齢に伴う脆弱化や肥満による腹腔内圧の上昇によることが多い.

食道憩室

食道憩室の分類

著者: 大島忠之

ページ範囲:P.442 - P.443

定義
 食道憩室は食道壁の一部が内圧により囊状に突出したり,周囲から牽引されて囊状に突出する形態の異常である.発生過程,構成要素,成因,発生部位による分類がある(Table 1).食道憩室は一般的に治療の対象となることは少ないが,違和感などの症状が持続することや出血,穿孔で治療の対象となることがある.

食道静脈瘤

食道静脈瘤の内視鏡所見記載基準

著者: 加藤恒孝 ,   引地拓人

ページ範囲:P.444 - P.445

定義
 「門脈圧亢進症取扱い規約」において,食道静脈瘤に対する内視鏡所見記載基準が設定されている(Table 1)1)

Barrett食道

プラハ分類

著者: 小池智幸 ,   正宗淳

ページ範囲:P.446 - P.447

定義
 Prague C & M CriteriaによるBarrett食道の内視鏡診断の客観的指標として提唱された.Barrett食道の全周性の長さ(circumferential extent ; C)と舌状の最大長(maximum ; M)を測定(cm)し記載する.

Barrett食道の分類

著者: 小山恒男

ページ範囲:P.448 - P.449

定義
 「臨床・病理 食道癌取扱い規約 第12版」1)では内視鏡所見における食道胃接合部(esophagogastric junction ; EGJ)を“食道下部柵状血管の下端”とし,柵状血管が判定できない場合は,“胃の縦走ひだの口側終末部”と定義した.そして,Barrett食道を“胃から食道に伸びる円柱上皮で構成され,腸上皮性化生の有無を問わない”と定義した.したがって,内視鏡的に同定されたEGJより口側に円柱上皮が存在すると,その時点でBarrett食道と診断される.
 一方,欧米では腸上皮化生が必須とされているため,生検にて腸上皮化生が確認されて初めてBarrett's esophagusと診断される.このように,Barrett食道の定義は,本邦と欧米で異なることを知っておく必要がある.

Barrett食道腺癌の病型分類

著者: 高橋亜紀子 ,   小山恒男

ページ範囲:P.450 - P.451

定義
 癌腫の肉眼的な形を分類したものが病型分類である.「食道癌取扱い規約第12版」1)では,癌腫の壁深達度が肉眼的に粘膜下層までと推定される病変を“表在型”とし,固有筋層以深に及んでいると推定される病変を“進行型”としている.
 “表在型”を0型とし,“進行型”は1〜4型の基本型のいずれかに分類する.0〜4型ないしその組み合わせで表現できない病変を5型とする.1型は隆起型,2型は潰瘍限局型,3型は潰瘍浸潤型,4型はびまん浸潤型,5型は分類不能型である(Table 1)1)

Barrett食道腺癌の壁深達度分類

著者: 新井冨生

ページ範囲:P.452 - P.453

定義
 2022年10月発刊の「臨床・病理 食道癌取扱い規約 第12版」1)に示された食道胃接合部癌(腺癌)の壁深達度分類(T分類)である.事実上,Barrett食道腺癌の壁深達度分類に相当する.

日本食道学会拡大内視鏡分類(Barrett食道腺癌)

著者: 郷田憲一 ,   小山恒男

ページ範囲:P.454 - P.456

定義
 2018年に発表されたBarrett食道・腺癌に対する拡大内視鏡所見の分類である1)

食道胃接合部

食道胃接合部癌の分類

著者: 平澤大

ページ範囲:P.458 - P.459

定義
 食道癌取扱い規約1)では,食道胃接合部の上下2cm以内を食道接合部領域(zone of esophagogastric junction ; Jz)とし,癌腫の中心(最深部)が食道胃接合部領域にあるものを,組織型にかかわらず食道胃接合部癌とすると定義している.

感染性食道炎

カンジダ食道炎の重症度分類(Kodsi分類)

著者: 高橋亜紀子 ,   小山恒男

ページ範囲:P.460 - P.461

定義
 カンジダは,口腔・食道・腸管の常在菌であり,Candida albicansが90%以上とされている.食道カンジダ症軽症例では無症状で基礎疾患を伴わない.しかし,中等症以上では嚥下障害,嚥下時痛,胸焼けなどの症状が出現し,免疫抑制を来すHIV(human immunodeficiency virus)感染,ステロイドや免疫抑制薬の使用,悪性疾患,糖尿病など基礎疾患が存在している可能性が高い.
 内視鏡所見の分類は,1976年にカンジダ食道炎に関する研究で定義されたKodsi分類1)が,よく用いられている.

胃 胃炎

木村・竹本分類

著者: 中島滋美

ページ範囲:P.462 - P.463

定義
 木村・竹本分類は,内視鏡的萎縮境界(endoscopic atrophic border)の拡がりに基づいて,内視鏡的萎縮の程度を評価する分類法である.萎縮境界の口側が胃体部小彎で閉じるものをclosed type(C),閉じないものをopen type(O)と区別し,それぞれI〜III(木村・竹本分類 改訂版では1〜3)の3段階に分類する(Fig.1)1).現在では,後述のような理由から,オリジナルの「木村・竹本分類」ではなく,木村・竹本分類 改訂版」が広く用いられている(実際には,「木村・竹本分類 改訂版」が「木村・竹本分類」の名称で用いられている)(Fig.2)2)

A-B分類

著者: 八木一芳

ページ範囲:P.464 - P.465

定義
 H. pylori(Helicobacter pylori)未感染胃および活動性胃炎で炎症を伴った胃底腺粘膜,幽門腺粘膜,萎縮粘膜,腸上皮化生の拡大内視鏡像の変化を示した分類である.

胃炎の京都分類

著者: 鎌田智有 ,   春間賢

ページ範囲:P.466 - P.469

定義
 H. pylori(Helicobacter pylori)感染を未感染,現感染,除菌後を含む既感染に分類し,その特徴的な内視鏡所見を整理したものである.シドニー分類を基本とし,より客観的により正確に,病理組織学的所見を考慮した本邦の標準的な内視鏡診断学でH. pylori感染胃炎を診断する所見を明確にすること,胃癌のリスクとなる胃炎をスコア化することが目的である.その他,H. pylori以外の原因による胃粘膜の変化も取り上げている.

ABCリスク分類

著者: 井上和彦

ページ範囲:P.470 - P.471

定義
 血清H. pylori(Helicobacter pylori)抗体でH. pylori感染を,血清ペプシノゲン(pepsinogen ; PG)法(PG I≦70ng/mLかつPG I/II比≦3.0を陽性)で胃粘膜萎縮を判断し,その組み合わせで胃癌リスク層別化を行う方法をABCリスク分類(以下,ABC分類)という1)

updated Sydney system

著者: 丸山保彦

ページ範囲:P.472 - P.473

定義
 組織学部門と内視鏡部門から成る胃炎の国際的表記法である.組織学部門は,①病因,②局在,③形態の3項目,内視鏡部門は局在,形態変化(最も優位な所見)より胃炎のカテゴリーを定義する.

自己免疫性胃炎の病期分類

著者: 寺尾秀一

ページ範囲:P.474 - P.476

定義
 自己免疫性胃炎(autoimmune gastritis ; AIG)の最新の知見をもとに,およそ早期,中期(活動期),進行期〜終末期の3つの病期に分類し,各病期の臨床像,内視鏡像,病理組織像の特徴の概要を示そうとしたものである.

胃潰瘍(十二指腸潰瘍も含む)

崎田・三輪分類

著者: 吉永繁高

ページ範囲:P.478 - P.479

定義
 時相を念頭に置いた胃潰瘍に関する分類であり,再生性変化がほとんど始まっていない最初の段階を活動期(active stage)とし,潰瘍周囲に浮腫が残っている段階をA1 stage,浮腫が消失している段階をA2 stageと細分類している.次に再生性変化が始まっている段階を治癒過程期(healing stage)とし,その再生上皮の覆い具合でH1 stage,H2 stageに細分類している.最終的に潰瘍が完全に再生上皮に覆われた段階を瘢痕期(scarring stage)とし,まだ赤味が残っているものをS1 stage(赤色瘢痕),赤味が消失し白色調であるものをS2 stage(白色瘢痕)と細分類し,計6つの時相に分類している.後述のように一般的には十二指腸潰瘍に対しても用いられる.

胃潰瘍の深さによる分類(通称,村上分類)

著者: 二村聡

ページ範囲:P.480 - P.481

定義
 1959年に,村上ら1)が提唱した胃・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)の深さ(深度)による分類である.

Forrest分類

著者: 小澤俊文

ページ範囲:P.482 - P.483

定義
 Forrest分類とは,1974年にJohn Forrestら1)が発表した,潰瘍の出血状態による分類である.現在ではWalter Heldweinら2)が1989年に改変したものが広く用いられている.

胃ポリープ

山田分類(山田・福富分類)

著者: 田邊元太郎 ,   上堂文也

ページ範囲:P.484 - P.485

定義
 1966年に,山田ら1)によって報告された,胃内腔に突出する病変をすべて胃隆起性病変(polypoid lesion)として,その起始部の肉眼的形態からI〜IV型の4つに分類したものである(Fig.1)1)

胃癌

肉眼型分類(胃癌取扱い規約)

著者: 諏訪哲也 ,   山本陽一 ,   小野裕之

ページ範囲:P.486 - P.487

定義
 現在,胃癌の肉眼型分類は日本胃癌学会の「胃癌取扱い規約 第15版」1)に準じて運用されており,胃癌を粘膜面からみた形態を0〜5型の6種類に分類している(Table 1).

壁深達度分類(胃癌取扱い規約)

著者: 八尾隆史

ページ範囲:P.488 - P.489

定義
 胃壁は解剖学的に,①粘膜(粘膜筋板を含む),②粘膜下組織,③固有筋層,④漿膜層(漿膜下組織と漿膜表面)の4層に区分され,癌の壁深達度は,癌浸潤が及んだ最も深い層をもって表す.

進行度分類(胃癌取扱い規約)

著者: 依光展和 ,   入口陽介

ページ範囲:P.490 - P.491

定義
 胃癌取扱い規約に定められている,胃癌の壁深達度(T,Table 1)1),リンパ節転移の程度(N),その他の転移の有無と部位(M)によって決定される.

拡大内視鏡分類(VS classification system)/MESDA-G

著者: 八尾建史

ページ範囲:P.492 - P.494

定義
1.VS(vessel plus surface)classification system
 早期胃癌を拡大内視鏡観察で診断するための診断体系である.
2.MESDA-G(magnifying endoscopy simple diagnostic algorithm for early gastric cancer)
 VS classification systemに基づいた早期胃癌の拡大内視鏡による診断アルゴリズムである.

壁深達度分類(X線診断)

著者: 外山雄三 ,   長浜隆司

ページ範囲:P.495 - P.497

定義
 壁深達度として頻用される分類としては,中村1)による胃癌のSM浸潤の肉眼所見を参考に,馬場2)がSM以深浸潤のX線造影所見を整理したものが挙げられる(Table 1).また,側面変形については牛尾ら3)が報告した消化管癌の側面変形の分類が多く使用されている(Fig.1).

組織型分類(胃癌取扱い規約,WHO分類)

著者: 藤原美奈子

ページ範囲:P.498 - P.500

定義
 胃癌取扱い規約の組織型分類は,日本胃癌学会が定めた胃癌の病理組織型分類であり,本邦の胃癌診断および治療の指針として用いられている.WHO分類の組織型分類は,WHOの下部組織である国際がん研究機関(the International Agency for Research on cancer ; IARC)が定めた世界共通の胃癌病理組織型分類である.

胃癌の二大別分類

著者: 伴慎一

ページ範囲:P.501 - P.503

定義
 胃癌の二大別分類として現在まで人口に膾炙しているものには,Laurén分類と中村・菅野分類がある.これらは純粋な組織型分類ではなく,癌の病理組織学的形態像や背景粘膜の所見,関連する臨床病理学的所見などの相違を含めて,胃癌(現在で言うところの一般型腺癌1))を2つの特徴的なグループに分けることができることを提唱した学説・概念とみなされるべきものである.

eCura system

著者: 八田和久 ,   後藤田卓志

ページ範囲:P.504 - P.505

定義
 2017年に発表された早期胃癌内視鏡治療後eCuraC-2(当時は非治癒切除と呼称)患者のリンパ節転移リスクを層別化した分類である1).なお,eCura systemにやや遅れて発表されたガイドラインの根治性評価(eCuraA,eCuraB,eCuraC-1,eCuraC-2)で用いられている“eCura”は,内視鏡的根治度を指しており,同じ“eCura”であるもののeCura systemとは意味は似て非なるものである.

形質発現による胃癌の分類

著者: 九嶋亮治

ページ範囲:P.506 - P.507

定義
 胃癌を腫瘍組織(を構成する細胞)の形質発現によって分類すること.腫瘍が胃固有上皮を模倣すれば胃型であるし,腸上皮化生に似れば腸型である.

胃腺腫

胃腺腫の組織学的分類(形質発現による分類を含む)

著者: 九嶋亮治

ページ範囲:P.508 - P.509

定義
 伝統的に粘膜内癌を認める本邦では,概念として,胃の腺腫は限定的な腫瘍性病変,つまり「そのままの細胞・病理組織像では粘膜固有層〜粘膜下層の間質内に浸潤する確率が将来的にも限りなくゼロに近い上皮性腫瘍性病変」を指している.逆に言えば,限定的に腺腫と診断されるもの以外の上皮性腫瘍性病変のほとんどは腺癌の診断となる.

胃上皮性腫瘍

胃生検のGroup分類とWHOのdysplasia/IEN分類

著者: 九嶋亮治

ページ範囲:P.510 - P.511

定義
1.Group分類
 本邦独自の胃生検組織診断分類で,上皮性病変に対してGroup 1〜5とGroup Xの6つに分ける1)
2.dysplasia/IEN分類
 WHO分類2)で採用されている胃の粘膜内上皮性病変に対する分類法であり,ウィーン分類3)に基づいている.“negative for dysplasia/IEN”,“indefinite for dysplasia/IEN”,“low-grade dysplasia/IEN”,“high-grade dysplasia/IEN”と“intramucosal invasive neoplasia”に分類する2)

胃MALTリンパ腫

Wotherspoonによる病理組織学的評価

著者: 田中健大

ページ範囲:P.512 - P.513

定義
 1993年にWotherspoonら1)によって提唱された,MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫診断の信頼度を0〜5の6段階で表現したものであるが,除菌後の治療効果指標としても用いられることがある.リンパ球の形状および浸潤形態,リンパ濾胞ならびにLEL(lymphoepithelial lesion)の有無によってgrade評価を行う.

GELA分類(治療後の病理組織学的評価)

著者: 田中健大

ページ範囲:P.514 - P.515

定義
 GELA分類はMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫の除菌後評価を簡便かつ再現性の高いものとするためにGELA(Groupe d'Etude des Lymphomes de l'Adulte,フランスのリンパ腫研究グループ)によって作られた.HE染色標本でリンパ球浸潤,LEL(lymphoepithelial lesion)の有無と間質の評価をすることで胃MALTリンパ腫除菌治療後の病理組織学的評価を行う基準である.

十二指腸 十二指腸腺腫・腺癌(上皮性腫瘍)

粘液形質による分類

著者: 牛久哲男

ページ範囲:P.516 - P.517

定義
 小腸型上皮(吸収細胞,杯細胞,Paneth細胞)への分化を示す腫瘍を腸型形質腫瘍,胃型上皮(腺窩上皮,幽門腺・頸部粘液細胞,胃底腺細胞)への分化を示す腫瘍を胃型形質腫瘍と呼ぶ(Table 1).両者の形質を併せ持つ胃腸混合型腫瘍,逆に胃型・腸型分化の明らかでない無形質腫瘍も存在する.

内視鏡による分類

著者: 鳥谷洋右 ,   松本主之

ページ範囲:P.518 - P.520

定義
 十二指腸上皮性腫瘍の内視鏡分類として統一されたものは存在しない.したがって,本項では表在型非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumors ; SNADETs)の内視鏡分類のうち代表的なものを概説する.

小腸・大腸 大腸腫瘍

肉眼型分類(大腸癌取扱い規約)

著者: 鈴木啓太 ,   鈴木桂悟

ページ範囲:P.522 - P.523

定義
 本邦における大腸癌の肉眼型分類は,「大腸癌取扱い規約」1)により定義されている.

壁深達度分類(大腸癌取扱い規約)

著者: 下田将之

ページ範囲:P.524 - P.525

定義
 癌は粘膜内に発生し,時間の経過とともに,連続的に,垂直ならびに水平方向に進展する.壁深達度とは,癌が垂直方向へ浸潤する最深部を意味する.「大腸癌取扱い規約 第9版」では,壁深達度はT分類で定義される1)(Table 1).

進行度分類(大腸癌取扱い規約)

著者: 松下弘雄

ページ範囲:P.526 - P.527

定義
 大腸癌の進行度を数字で表したものであり,本邦の大腸癌研究会で編纂された大腸癌取扱い規約(以下,規約)の中に記載されている.

牛尾・丸山の分類(注腸X線検査の側面変形について)

著者: 川崎啓祐 ,   鳥巣剛弘

ページ範囲:P.528 - P.530

定義
 大腸癌の深達度診断における注腸X線検査の側面変形の分類である.

PG・NPG分類

著者: 池上雅博

ページ範囲:P.531 - P.532

概要
 大腸癌の粘膜内での増殖様式に注目し,大腸癌の組織発生やその後の発育進展について検討するために考案した分類である1).大腸癌は組織学的割面形態からPG(polypoid growth)とNPG(non polypoid growth)に分類された.

工藤・鶴田分類

著者: 山野泰穂

ページ範囲:P.533 - P.534

定義
 工藤・鶴田分類とは,大腸腫瘍性病変を中心として質的診断に用いられる拡大内視鏡による分類である.大腸粘膜で拡大観察できる腺管の開口部をpitと表現し,それ以外の表面微細構造も含めてpit patternと称している.正常粘膜から癌,ときには深達度も含めた病理組織像に対応してpit patternは異なっており,それらをパターン化したものである.
 この分類では5つの型に大きく分類され,さらにその下位に亜分類が付されている(Table 1,典型例の画像).

NICE分類(大腸腫瘍NBI所見分類)

著者: 山下賢 ,   岡志郎

ページ範囲:P.535 - P.536

定義
 2009年に提唱された大腸腫瘍NBI(narrow band imaging)所見に関する国際分類である.

JNET分類(大腸腫瘍NBI拡大所見分類)

著者: 田中秀典 ,   岡志郎

ページ範囲:P.537 - P.539

定義
 大腸腫瘍質的診断のためのNBI(narrow band imaging)拡大内視鏡所見に関する本邦の統一分類である1)

側方発育型腫瘍(LST)の分類(大腸癌取扱い規約)

著者: 山野泰穂

ページ範囲:P.540 - P.541

定義
 径が10mmを超える側方への発育を主体とする上皮性腫瘍を側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor ; LST)と総称する.その形態的特徴から2つに大別され,さらにおのおの2つの亜分類を有する(Table 1,Fig.1).

大腸EC分類(超拡大内視鏡)

著者: 工藤進英 ,   高階祐輝

ページ範囲:P.542 - P.543

定義
 2011年に発表した超拡大内視鏡(endocytoscopy ; EC)の登場によって観察可能となった細胞核と腺腔に基づいたEC分類1)と,2013年に発表したNBI(narrow band imaging)を併用することで観察可能な血管形態に基づいたEC-V分類2)がある.

上皮性腫瘍の組織型分類(大腸癌取扱い規約,WHO分類)

著者: 藤原美奈子

ページ範囲:P.544 - P.546

定義
 大腸癌取扱い規約の組織型分類は,大腸癌研究会が定めた大腸病変の病理組織型分類であり,本邦の大腸病変診断および治療の指針として用いられている.WHO分類の組織型分類は,WHOの下部組織である国際がん研究機関(the International Agency for Research on cancer ; IARC)が定めた世界共通の大腸病変の病理組織型分類である.

大腸生検組織診断分類(Group分類)

著者: 藤原美奈子

ページ範囲:P.547 - P.548

定義
 「大腸癌取扱い規約 第9版」(2018年)1)によると,大腸生検組織診断分類(Group分類)は大腸の内視鏡的生検材料(hot biopsyも含む)の病理組織診断において,病変の診断(疾患)区分を明確にすることを目的として,作成された分類である(Table 1).その対象は生検材料のみであり,ポリペクトミー材料や内視鏡的粘膜切除材料,内視鏡的粘膜下層剝離材料,外科的切除材料には用いない.またGroup分類は上皮性病変にのみ用い,非上皮性病変(リンパ腫や間葉系腫瘍)には用いない.

鋸歯状病変

組織型分類(大腸癌取扱い規約,WHO分類)

著者: 菅井有

ページ範囲:P.549 - P.550

定義
 鋸歯状病変は鋸歯状腺腔を有する病変の総称である.

虫垂腫瘍

組織型分類(大腸癌取扱い規約,WHO分類)

著者: 下田将之

ページ範囲:P.551 - P.553

定義
 虫垂腫瘍は虫垂を原発として発生する腫瘍性病変であり,良性・悪性上皮性腫瘍,非上皮性腫瘍,悪性リンパ腫,腫瘍様病変などが挙げられる.現行の組織型分類として,「大腸癌取扱い規約 第9版」(Table 1)1)およびWHO分類第5版(Table 2)2)が用いられている.

肛門管腫瘍

組織分類(大腸癌取扱い規約,WHO分類)

著者: 八尾隆史

ページ範囲:P.554 - P.555

定義
 肛門管は,大腸癌取扱い規約で,外科的(肉眼的)には恥骨直腸筋付着部上縁〜肛門縁まで,病理組織学的には恥骨直腸筋付着部上縁〜肛門周囲皮膚との移行部までと規定され,直腸粘膜部,移行帯上皮部(重層立方ないし重層円柱上皮から成る),扁平上皮部(扁平上皮で毛根・汗腺を欠く)に分けられる.

潰瘍性大腸炎

病態分類(拡がりによる病型分類,病期分類,重症度分類など)

著者: 河合幹夫 ,   新﨑信一郎

ページ範囲:P.556 - P.557

定義
 本邦における潰瘍性大腸炎に関する基本的な分類であり,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班による「潰瘍性大腸炎診断基準・治療指針」に記載されている.治療指針の基本となる臨床的分類である.

内視鏡所見による分類

著者: 佐藤允洋 ,   藤谷幹浩

ページ範囲:P.558 - P.561

定義
 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)の活動性を内視鏡所見に基づいて評価するための分類である.本稿では,特に重要な以下の6項目について解説する.

臨床的指標による分類

著者: 山上博一

ページ範囲:P.562 - P.565

定義
 潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するため,臨床症状,内視鏡画像所見を含む臨床検査所見などをもとに作成された指標である.
 本稿では使用頻度が高い,Mayoスコア,UC-DAI(disease activity index for ulcerative colitis,Sutherland index),CAI(clinical activity index,Rachmilewitz index),Lichtiger indexについて述べる.

組織分類(Matts組織分類,Geboesスコア,その他)

著者: 八尾隆史

ページ範囲:P.566 - P.568

定義
 潰瘍性大腸炎における,大腸粘膜の炎症細胞の種類と浸潤程度,陰窩上皮の破壊の程度の組み合わせにより,炎症の活動性の指標とされる組織分類である.Matts組織分類(Table 1)1),Geboesスコア(Table 2)2)が代表的であるが,その他としてRiley分類,Nancyインデックス,Robartsインデックス,IBD-DCA(inflammatory bowel disease-distribution, chronicity, activity)スコアがある.

潰瘍性大腸炎に出現する異型上皮の分類

著者: 田邉寛 ,   二村聡

ページ範囲:P.569 - P.572

定義
 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)における持続的な粘膜への炎症性傷害性刺激の結果生ずる異型上皮の病理組織学的分類である.なお,欧米では炎症性腸疾患のdysplasia分類(Table 1)1)が広く知られており,本邦では厚生省研究班分類(Table 2)2)が提唱されている.

潰瘍性大腸炎関連腫瘍

SCENIC肉眼分類

著者: 松本主之

ページ範囲:P.573 - P.574

定義
 2014年に提唱された潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)関連腫瘍の内視鏡所見に対する肉眼分類である.

Crohn病

病型分類

著者: 久能宣昭 ,   平井郁仁

ページ範囲:P.575 - P.575

定義
 Crohn病(Crohn's disease ; CD)の病型分類は病変部位や病態を的確に把握するために使用され,本邦では縦走潰瘍,敷石像または狭窄の存在部位により,小腸型,小腸大腸型,大腸型,特殊型に分類される.また,疾患パターンに応じて,炎症型,瘻孔形成型,狭窄型に分類される(Table 1)1)

モントリオール分類

著者: 松岡弘樹 ,   平井郁仁

ページ範囲:P.576 - P.577

定義
 Crohn病(Crohn's disease ; CD)のモントリオール分類は,国際的にも頻用される患者背景や病態の分類法で,①診断時年齢(age at diagnosis),②病変部位(location),③病態(behavior),の3項目から成る.各項目は,Table 1のように定義されている.L4は上部消化管病変が併存する場合,L1〜L3に併記する.また,肛門部病変(痔瘻や肛門周囲膿瘍など)が存在する場合,pをB1〜B3に付記する.

内視鏡所見による分類

著者: 江﨑幹宏

ページ範囲:P.578 - P.580

定義
1.CDEIS(Crohn's disease endoscopic index of severity)
 Crohn病(Crohn's disease ; CD)の大腸内視鏡所見に基づいた重症度判定の標準化を目指して作成された1)
2.SES-CD(simple endoscopic score for Crohn's disease)
 CDEISの簡略化を目的として作成された2)
3.Rutgeerts score
 回腸—大腸吻合術が施行されたCD患者の吻合部および吻合部口側回腸(neoterminal ileum)の重症度評価を目的として作成された3)

臨床的指標による分類

著者: 松本主之

ページ範囲:P.581 - P.583

定義
 Crohn病(Crohn's disease ; CD)は消化管の慢性肉芽腫性炎症を特徴とする原因不明の疾患である.また,口腔内や肛門部病変,狭窄・膿瘍・瘻孔などの消化管合併症に加えて,種々の全身性合併症を伴うことがある.このため,CDの活動性や重症度を総合的に評価する臨床指標の算出法として,多彩な項目を含むものが考案されている.これらの算出法は1970〜1980年代にかけて報告されたものであるが,いまだにCDの短期治療効果の指標として重要と考えられている1).中でも,本症の大規模臨床治験においては,以下に示す臨床的指標,あるいはその改訂版が効果判定に広く用いられている.

虚血性腸炎

虚血性大腸炎の病型分類(Marston分類)

著者: 野坂佳愛 ,   蔵原晃一

ページ範囲:P.584 - P.587

定義
 血流障害が病態に関与している腸疾患を虚血性腸病変と呼ぶが,虚血性大腸炎はその代表的な疾患の一つである.Marston分類は1966年にMarstonら1)が提唱した虚血性大腸炎の病型分類である(Table 1).

腸結核

黒丸の分類

著者: 小林広幸

ページ範囲:P.588 - P.589

定義
 黒丸の分類とは,病理医の黒丸が未治療肺結核患者の死後に病理解剖した十二指腸から大腸における腸結核の粘膜病変(主に潰瘍性病変)をくまなく詳細にスケッチ記述し,おのおのの病変とその病理組織像を対比・分析し,腸結核の発症初期から終末期に至る潰瘍性病変の進展様式(形態学的特徴)について分類したものである(Fig.1)1).後述する原典を要約した黒丸の著書「腸結核症の病理」1)の原文をそのまま記載すると,第I型は初期の病変で粟粒大ないし麻実大の結核結節である.第II型は結核結節の壊死物質が粘膜を破って腸腔に排出され,小潰瘍を形成したものである.第III型はそれがやや大きくなり,小豆大または扁桃大となったものである.第IV型は,腸の横軸方向の潰瘍で,輪状または帯状潰瘍と言われるものである.長径2cm以下のものをIVA型,2cm以上のものをIVB型とした.第V型は縦軸方向の長径2cm以下のものをVA型,2cm以上のものをVB型とした.VI型は円形または類円形の潰瘍で,扁桃大以上のものである.第VII型は不整形潰瘍で,扁桃大以上である.第VIII型は潰瘍が互いに融合し,広範な潰瘍となったものである.

粘膜脱症候群

肉眼型分類

著者: 大川清孝

ページ範囲:P.590 - P.591

定義
 直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome ; MPS)の肉眼型分類であり,①隆起型,②潰瘍型,③平坦型,の3つに分類するのが一般的である.それに加えて混合型や限局性深在性囊胞性大腸炎(colitis cystica profunda ; CCP)を加える分類がある.
 なお,渡辺ら1)は直腸MPSを,①顕在または潜在性の粘膜脱出があり,病理組織学的に表層部粘膜固有層に毛細血管の増生・拡張(内皮細胞は腫大している)と線維芽細胞や筋細胞の増殖を伴い,さらに深層の粘膜固有層に種々の程度の線維筋症を伴うもの,ないし,②臨床的に粘膜脱出の有無が検査されていない場合や粘膜脱出が証明されていない場合でも,上記の病理組織学的所見がみられるもの,と定義している.

腸閉塞

病態分類

著者: 松田圭二 ,   安田幸嗣

ページ範囲:P.592 - P.593

定義
 腸閉塞とは,何らかの原因で腸管が機械的に閉塞し,腸管内容の肛門側への輸送が障害されたことによる病態である1)

小腸

CEST

著者: 大塚和朗

ページ範囲:P.594 - P.595

定義
 PillCam®カプセル内視鏡(capsule endoscopy ; CE)のレポート作成用に,2005年にMST(Minimal Standard Terminology)のver.2に基づいて作成された用語集である1)

小腸血管性病変

矢野・山本の分類

著者: 矢野智則

ページ範囲:P.596 - P.597

定義
 2008年に発表された小腸血管性病変に対する内視鏡所見の肉眼分類1)である.

痔核

Goligherの分類

著者: 松田圭二 ,   安田幸嗣

ページ範囲:P.598 - P.598

定義
 内痔核の脱出・還納の程度を患者の自覚症状によって4つの段階に分類した臨床病期分類である1).簡便で広く用いられている(Table 1)1)

痔瘻

隅越の分類

著者: 松田圭二 ,   安田幸嗣

ページ範囲:P.599 - P.599

定義
 肛門管を形成する肛門管上皮および皮膚,内肛門括約筋,外肛門括約筋,肛門挙筋による境界空隙に番号をつけ,歯状線との関係〔高位(high ; H)か低位(low ; L)〕,瘻管分岐の程度〔複雑(complex ; C)か単純(simple ; S)〕,さらに片側(unilateral ; U)か両側(bilateral ; B)によって痔瘻を記号化した分類(Fig.1,Table 1)である1)2)

薬剤性腸炎

抗菌薬関連大腸炎

著者: 原田英 ,   蔵原晃一

ページ範囲:P.600 - P.601

定義
 抗菌薬(抗生物質)の使用により惹起される大腸炎の総称である.

薬剤性腸炎の分類

著者: 水江龍太郎 ,   蔵原晃一

ページ範囲:P.602 - P.603

定義
 薬剤性腸炎(薬剤性腸病変)とは,投与された薬剤に関連して惹起される腸管粘膜病変と定義される.診断基準として,①発症前からの薬剤使用歴の確認,②感染性腸炎などの他疾患の否定,③原因薬剤中止後の腸病変改善の確認,の3項目が挙げられ1),種々の薬剤による多彩な薬剤性腸炎が報告されている.

感染症

腸管感染症の感染成立状況別分類

著者: 清水誠治

ページ範囲:P.604 - P.604

定義
 感染の成立状況による腸管感染症の分類である(Table 1).

食中毒原因物質の分類

著者: 清水誠治

ページ範囲:P.605 - P.605

定義
 食中毒の原因となる病原体(細菌性,ウイルス性,寄生虫性)の他,化学物質や自然毒を含んだ分類である(Table 1).食品衛生法第58条で「食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのあるもの(以下「食中毒患者等」という)を診断し,又はその死体を懸案した医師は,直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない」と規定されている.

放射線性腸炎

病期・内視鏡重症度分類

著者: 千野晶子

ページ範囲:P.606 - P.606

定義
 放射線性腸炎の晩期障害に対するアルゴンプラズマ凝固(argon plasma coagulation ; APC)治療を計画的に行うために作成した内視鏡所見による分類である1)

全消化管 内分泌細胞腫瘍

WHO分類

著者: 海崎泰治

ページ範囲:P.608 - P.609

定義
 2019年にWHOより発表された消化器の内分泌細胞腫瘍(WHO分類ではneuroendocrine neoplasm ; NEN)に対する組織分類である1)

胃癌・大腸癌取扱い規約における分類

著者: 海崎泰治

ページ範囲:P.610 - P.611

定義
 「胃癌取扱い規約 第15版」1)および「大腸癌取扱い規約 第9版」2)における内分泌細胞腫瘍の組織学的分類である(Table 1).

Rindiの分類(背景病変による分類)

著者: 海崎泰治

ページ範囲:P.612 - P.613

定義
 1993年にRindiら1)が発表した,腫瘍発生に関わる背景病変を考慮した胃カルチノイド腫瘍(neuroendocrine tumor ; NET)の分類である.

リンパ腫

病期分類(Lugano国際会議分類)

著者: 久米井智 ,   松本主之

ページ範囲:P.614 - P.615

定義
 消化管原発悪性リンパ腫(primary gastrointestinal lymphoma ; PGIL)における臨床病期分類である.

肉眼分類(佐野の分類,八尾らの分類)

著者: 久米井智 ,   松本主之

ページ範囲:P.616 - P.617

定義
 肉眼形態からみた胃悪性リンパ腫の分類法である.

病型・疾患単位分類(WHO分類および国際コンセンサス分類)

著者: 二村聡

ページ範囲:P.618 - P.622

定義
 2022年に公表されたリンパ系腫瘍(lymphoid tumors/neoplasms)の病型・疾患単位(type/entity)の系統的な分類である.一つは世界保健機関(World Health Organization ; WHO)から公表されたWHO分類第5版(Table 1)1)で,もう一つは臨床諮問委員会(Clinical Advisory Committee)より「Blood」誌にて公表された国際コンセンサス分類(International Consensus Classification,Table 2)2)である.

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の国際予後指標(NCCN-IPI)

著者: 髙松泰

ページ範囲:P.623 - P.623

定義
 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma ; DLBCL)に対してリツキシマブ併用CHOP(R-CHOP)療法を行う患者の予後を予測する指標である(Table 1).

GIST

GISTリスク分類

著者: 伴慎一

ページ範囲:P.624 - P.627

定義
 GIST(gastrointestinal stromal tumor)の外科的切除検体に対して,再発・転移を生じるリスクを相対的に評価するための病理形態学的指標と,それに基づくリスクの層別化を示した分類である.① Fletcher分類(NIHコンセンサス分類),② Miettinen分類(AFIP分類),③ modified Fletcher分類(Joensuu分類),の3分類が提唱されている.

消化管上皮性腫瘍

パリ分類

著者: 田中秀典 ,   岡志郎

ページ範囲:P.628 - P.629

定義
 食道,胃,大腸の表在型腫瘍(superficial neoplastic lesion)に対する内視鏡所見の国際肉眼型分類である.

血管炎

チャペルヒル分類

著者: 江頭信二郎 ,   蔵原晃一

ページ範囲:P.630 - P.632

定義
 チャペルヒル分類とは,カンファレンスの開催地名を冠した血管炎の分類である.原発性血管炎10疾患を罹患血管サイズにより3つのカテゴリーに分類した1994年のCHCC(Chapel Hill Consensus Conference)分類が大幅に改定され,2013年1月号の「Arthritis & Rheumatism」誌に“CHCC 2012”として掲載された1)

好酸球性胃腸炎

好酸球性消化管疾患の分類

著者: 石原俊治 ,   大嶋直樹

ページ範囲:P.634 - P.635

定義
 好酸球性消化管疾患(eosinophilic gastrointestinal disorders ; EGIDs)は,消化管壁に好酸球が異常集積することで炎症や機能不全が誘発される疾患である.EGIDsは消化管の罹患部位によって分類される.

アミロイドーシス

化学型に基づく分類(病型分類)

著者: 新井冨生

ページ範囲:P.636 - P.638

定義
 2022年に発表された国際アミロイドーシス学会用語委員会によるアミロイド蛋白質と前駆物質によるアミロイドーシスの分類である1).本邦では,アミロイドーシス診療ガイドライン2017 2)が最新のものであるが,これは国際アミロイドーシス2014年版に基づく.

消化管ポリポーシス

消化管ポリポーシスの分類

著者: 梅野淳嗣 ,   長末智寛

ページ範囲:P.640 - P.642

定義
 消化管ポリポーシスとは,狭義的には同一病理組織像から成る隆起が消化管に多発する疾患群の総称である.実際には,複数の組織学的特徴を有する隆起が多発している場合にも用いられており,その疾患群の分類のことである.

血管腫・血管奇形

国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)分類

著者: 二村聡

ページ範囲:P.643 - P.644

定義
 1996年にローマで開催された国際血管腫・血管奇形学会(the International Society for the Study of Vascular Anomalies ; ISSVA)のワークショップで採択された,脈管異常(vascular anomalies)の系統的分類である1).以後,診断と治療選択に直結する最新知見を組み込みながら改訂を重ね,現在に至る.現在,普及しているバージョンは2018年に改訂されたものである.

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目次

ページ範囲:P.410 - P.412

執筆者一覧(執筆順)

ページ範囲:P.406 - P.407

バックナンバー・定期購読のご案内

ページ範囲:P.408 - P.408

早期胃癌研究会 症例募集

ページ範囲:P.489 - P.489

「今月の症例」症例募集

ページ範囲:P.583 - P.583

索引

ページ範囲:P.646 - P.648

次号予告

ページ範囲:P.650 - P.650

編集後記

著者: 海崎泰治

ページ範囲:P.651 - P.651

 消化管疾患の診療は日々改良,更新されており,新しい疾患概念や新しい機器,それらに伴う種々の知見が生まれてきている.それらの新しい知見により,消化管疾患に関わる新しい分類が生まれ,元からあった分類も改良がなされてきている.
 「胃と腸」誌では,消化管疾患に関連する分類に特化した初めての特集号「消化管疾患の分類2019」を発行しているが,それからの5年で消化管医学の急速な進歩や新たな診断・治療法の開発に伴い,新分類や改訂分類が数多く報告されている.そこで消化管疾患の診断・治療に適用されている分類を改めて吟味し直し,2024年時点における消化管の臨床,学会発表,論文作成に必須と思われる分類を選択し,「消化管疾患の分類2024」として,専門領域の先生方に改めて解説いただいた.

奥付

ページ範囲:P.652 - P.652

基本情報

胃と腸

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1219

印刷版ISSN 0536-2180

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