文献詳細
今月の主題 内視鏡治療後サーベイランスの現状—異時性多発病変を中心に
序説
文献概要
はじめに
消化管腫瘍に対する内視鏡的切除はポリペクトミーに始まり,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR),内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)と進化を遂げている.この革新的な手法により多くの早期癌が根治可能となった.内視鏡的切除は臓器が温存されるため患者の生活の質(quality of life ; QOL)を損なわないが,一方で癌の発生母地を残すことになる.一度発癌するに至った背景粘膜は,いつ異時多発病変が発生してもおかしくない環境である.低侵襲治療の恩恵を受けていても,その後の管理が非常に重要であることは自明の理であろう.
サーベイランスの目的には,①遺残再発のチェック,②転移再発のチェック,③異時多発病変のチェック,④他臓器癌のチェック,が挙げられる.本特集号でこれらすべてのサーベイランスのあり方を論じるには紙面が足りないゆえ,今回は③異時多発病変に焦点を当てて論じることとした.異時多発病変の早期発見においては内視鏡検査が重要であることは言うまでもないが,その検査間隔や検査期間に関しては質の高いエビデンスに基づいて行われるべきである.本特集号では各臓器におけるauthorityがエビデンスに基づいた考え方を詳細に解説している.そこで,この序説では,各項目の予習段階として,現在発刊されているガイドラインに記された内視鏡的切除後のサーベイランスのあり方に関して簡単に解説を行う.
消化管腫瘍に対する内視鏡的切除はポリペクトミーに始まり,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR),内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)と進化を遂げている.この革新的な手法により多くの早期癌が根治可能となった.内視鏡的切除は臓器が温存されるため患者の生活の質(quality of life ; QOL)を損なわないが,一方で癌の発生母地を残すことになる.一度発癌するに至った背景粘膜は,いつ異時多発病変が発生してもおかしくない環境である.低侵襲治療の恩恵を受けていても,その後の管理が非常に重要であることは自明の理であろう.
サーベイランスの目的には,①遺残再発のチェック,②転移再発のチェック,③異時多発病変のチェック,④他臓器癌のチェック,が挙げられる.本特集号でこれらすべてのサーベイランスのあり方を論じるには紙面が足りないゆえ,今回は③異時多発病変に焦点を当てて論じることとした.異時多発病変の早期発見においては内視鏡検査が重要であることは言うまでもないが,その検査間隔や検査期間に関しては質の高いエビデンスに基づいて行われるべきである.本特集号では各臓器におけるauthorityがエビデンスに基づいた考え方を詳細に解説している.そこで,この序説では,各項目の予習段階として,現在発刊されているガイドラインに記された内視鏡的切除後のサーベイランスのあり方に関して簡単に解説を行う.
参考文献
1)日本頭頸部癌学会(編).頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版,第4版.金原出版,2022
2)清水勇一.咽頭癌の内視鏡診断と治療—消化器内視鏡医の役割.Gastroenterol Endosc 63:1207-1217,2021
3)石原立,有馬美和子,飯塚敏郎,他.食道癌に対するESD/EMRガイドライン.Gastroenterol Endosc 62:221-271, 2020
4)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン 医師用2021年7月改訂,第6版.金原出版,2021
5)十二指腸癌診療ガイドライン作成委員会(編).十二指腸癌診療ガイドライン2021年版.金原出版,2021
6)斎藤豊,岡志郎,河村卓二,他.大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン.Gastroenterol Endosc 62:1519-1560, 2020
7)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン 医師用2022年版.金原出版,2022
8)日本消化器病学会(編).炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020,改訂第2版.南江堂,2020
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