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文献詳細

雑誌文献

胃と腸59巻7号

2024年07月発行

文献概要

今月の主題 虚血性腸病変を整理する 主題症例

消化管病変を契機に診断した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例

著者: 野坂佳愛1 蔵原晃一1 大城由美2 南満芳3 岡本康治14 田中貴英14 江頭信二郎14 池上幸治1 鳥巣剛弘4

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2松山赤十字病院病理診断科 3松山赤十字病院皮膚科 4九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

ページ範囲:P.1001 - P.1007

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要旨●患者は60歳代,男性.20XX−2年に気管支喘息を発症.20XX−1年に近医呼吸器内科で好酸球性肺炎と診断され,ステロイド内服加療中であった.20XX年に心窩部痛と血便が出現し当科を受診した.大腸内視鏡検査で遠位S状結腸〜直腸に周囲を縁取るような発赤を伴う地図状潰瘍の多発を認めた.カプセル小腸内視鏡検査では上部〜下部小腸にわたり大腸病変に相似する潰瘍性病変の散在を認めた.皮膚病変を検索したところ体幹と四肢に網状紫斑の多発を認め,臀部の網状紫斑より採取した皮膚生検組織で壊死性血管炎の所見を認め,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と確定診断した.心病変,神経炎の合併を認めシクロホスファミド大量静注療法を施行した.特徴的な小腸病変と大腸病変の内視鏡所見から本症を疑って皮膚病変を検索し,紫斑を皮膚生検した結果,本症の確定診断に至った症例であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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