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文献詳細

雑誌文献

胃と腸59巻8号

2024年08月発行

文献概要

今月の主題 臨床と病理のマリアージュ 主題

消化管切除標本の取り扱いと肉眼診断・肉眼写真撮影法の基本

著者: 中野薫1 河内洋1

所属機関: 1がん研究会有明病院病理部

ページ範囲:P.1043 - P.1054

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要旨●切除標本の取り扱い工程には,“標本の展開,貼付け,ホルマリン固定,肉眼観察,写真撮影,切り出し,組織切片作製”が含まれる.新鮮切除標本は,できるだけ検体を変性させないよう可及的速やかにホルマリンに浸漬することが重要である.固定後は適切な肉眼観察と良質な画像の撮影を行ったうえで,切り出しの方針を決め,実行していく.肉眼観察すべきものには,癌の存在および進展範囲,組織型,深達度などが含まれる.正確な肉眼所見の認識・評価は必要十分な切り出しのためには必須であり,最終的には病理診断の精度を左右する.さらには,肉眼所見と病理組織学的所見との対応を日常的に確認することにより,より正確な肉眼診断が可能となる.

参考文献

1)日本病理学会(編).ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程.羊土社,2019
2)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,第15版.金原出版,2017
3)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,第9版.金原出版,2018
4)日本食道学会(編).臨床・病理 食道癌取扱い規約,第12版.金原出版,2022
5)河内洋.切り出しのキモ—私はここをこう切っている:胃.病理と臨 38:1153-1159, 2020
6)渡辺玄,味岡洋一.肉眼診断.深山正久,大倉康夫(編).腫瘍病理鑑別診断アトラス—胃癌,第2版.文光堂,pp 26-36, 2015
7)伴慎一.肉眼診断.八尾隆史,菅井有(編).腫瘍病理鑑別診断アトラス—大腸癌,第2版.文光堂,pp 18-28, 2021
8)河内洋.食道癌の肉眼型(病型分類)と肉眼観察.大橋健一,河内洋(編).腫瘍病理鑑別診断アトラス—食道癌,第2版.文光堂,pp 20-25, 2021
9)中村恭一.胃癌の三角—病理学的にみた胃癌診断の考え方.胃と腸 28:161-171, 1993
10)中野薫,河内洋,後藤田卓志.食道上皮下病変の病理診断.胃と腸 59:279-293, 2024
11)池上雅博.PG,NPG分類からみた早期大腸癌の発育様式.胃と腸 45:715-719, 2010
12)森山智彦,鳥巣剛弘.悪性サイクル.胃と腸 57:604, 2022
13)日本胃癌学会(編).胃癌診療ガイドライン,第5版.金原出版,2018
14)二村聡.もっと病理写真が好きになる—いちから知る病理写真撮影のお作法.金芳堂,2024

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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