Ⅱa型のX線診断
著者:
五十嵐勤
,
村井隆夫
,
斉藤光正
,
佐藤洋司
,
内海幹郎
,
角田俊平
,
安斉幸夫
,
神尾義彦
,
児玉健夫
,
鈴木伸一
,
荒井清一
,
遠藤智子
,
森藤隆夫
,
五ノ井哲朗
ページ範囲:P.37 - P.45
はじめに
早期胃癌のX線検査理論は白壁ら1)~12)によって確立され,Ⅱa型を発見するには透視下圧迫が最良の策であると指摘された.そして,Ⅱa型の大きさ別の発見法が示された.あとは,さがしだすという意欲と,透視診断力および圧迫撮影の技術を身につけることが検者自身の問題となってくる.隆起の大きさが10mm,高さが1mmあれば透視下にみえるという目標も示されているのである.
さて,Ⅱa型隆起がひろいあげられたとき,つぎのような所見を検討することになる.正面からみた形と輪かくの性状,隆起の高さの程度,表面の性状,隆起の硬さなどである.
隆起型で深達度smのものは,リンパ腺転移あるいは肝転移が多く,予後は悪い14-17).Ⅱaのmかsmかの深達度の診断12)が重要なわけである.また,組織学的にはⅡaと境界領域の病変18)~22)のとり扱いが問題になっている.現在のところ,いちおう癌に準ずる変化として扱われているが,両者が肉眼的に鑑別できるものなら,X線で鑑別してみたいとおもう.とにかく,Ⅱa型隆起を発見したら,その肉眼所見を手術前に忠実にあらわしておきたいというわけである.
もちろん,Ⅱa型隆起とひと口にいっても,その外観様相にはちがいがある.これをいかにX線写真に描写していくかについては工夫を要するところである.検者によっては,工夫のニュアンスがいろいろだろうと考えられる.本文では,各論的に,2,3工夫を要するところを述べてみたいとおもう.