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今月の主題 隆起性早期胃癌 主題
Ⅰ型の内視鏡診断
著者: 島本和彦1 三崎文夫1 村上健二1 郡大裕1 小林顕彦1 小林義明1 赤坂裕三1 植松寿樹1 若林敏之1 井田和徳1 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学第3内科
ページ範囲:P.47 - P.53
文献購入ページに移動胃隆起性病変が,内視鏡的に良性であるか悪性であるかを判断する揚合,ある程度以上の大きさをもつBorrmann Ⅰ型の胃癌や,かなり特徴的な形態を呈するⅡa+Ⅱc型の早期胃癌についてはさほど診断が困難ではない.しかしながら,比較的病巣の小さいⅠ型早期癌は,Ⅱa型とともに良性の隆起性病変との判別が困難な場合にしばしばそう遇する.
内視鏡検査技術の進歩とともに,直視下胃生検も今日では広く行なわれるようになり,内視鏡検査時に疑わしい所見が見られた場合,引続いて直ちに胃生検を行なうのが一般的なすう勢になろうとしている.しかしながら,より確実な内視鏡的悪性指標の追求が病変の経過観察に大変寄与することは当然であり,胃生検はむしろ診断の確定に用いるようになるべきであろう.
今回のⅠ型早期胃癌の内視鏡的診断に関しては病変の色調,表面性状などの内視鏡所見について統計的に観察するとともに,切除肉眼標本を用いて,形状ならびに表面性状について分類し,Ⅰ型早期癌の形態的特異性の有無を検討した.
また,これらⅠ型早期癌の組織切片上からみた癌巣の局在の分析からポリープの癌化の問題についてもふれてみた.
観察に用いた症例は,本内科および関連病院での手術症例であり,その内訳はⅠ型早期胃癌9例Ⅱa型4例,および隆起を主とするⅡa+Ⅱc型早期癌10例,胃ポリープ単発12例,多発7例(32個)粘膜下腫瘍12例(隆起性肉腫2例を含む)進行癌3例,計58例82病変である.
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