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文献詳細

雑誌文献

胃と腸6巻1号

1971年01月発行

今月の主題 隆起性早期胃癌

主題

Ⅱa型の内視鏡診断

著者: 福富久之1 竹沢久武1 谷礼夫1 小林正巳1 崎田隆夫1

所属機関: 1国立がんセンター内科

ページ範囲:P.55 - P.61

文献概要

はじめに

 胃の隆起性病変は,レントゲンおよび胃カメラの進歩にともなって近年数多く発見され,生検の導入により術前診断が組織のレベルで可能となってきた.その結果,いたずらに癌をおそれて手術をすることが少なくなってきたことはよろこばしいことである.ここでは,今まで経験してきた胃隆起性病変の中で主としてⅡa型について内視鏡診断を中心に検討してみたいと思う.Ⅱa型早期癌の症例を検討するにあたって,Ⅰ型早期癌と,どの線で区別するかということと,Ⅱa+Ⅱc型早期癌をどのようにとりあつかうかということが問題になる.

 Ⅱaの定義は粘膜の厚さの約2~3倍の高さをもつ隆起性早期癌とされており,それ以上のものをⅠ型早期癌と定めている.このことからⅡa型というと「小さい」というイメージと「扁平である」というイメージが浮かんでくる.したがって,大きくて扁平であるものに遭遇すると,どちらに入れようかとまどうことがある,しかし,その区分は各人各様で,あまり神経質になる必要もないと思うので,適当にとりあつかうことにした.次のⅡa+Ⅱc型であるが,潰瘍性病変の存在が認められるものを除外して,Ⅱaから生じたのではないかと思われるⅡa+Ⅱcを検討の対象として組入れることとした.Ⅱa+Ⅱcの成因については,①Ⅱb→minute Ⅱa+Ⅱc→Ⅱa+Ⅱc,②Ⅱa→Ⅱb+Ⅱc ③Ⅱb→minute Ⅱc→Ⅱa+Ⅱcの経路が,内視鏡的な経過観察から認められており,また,佐野はこのⅡa+Ⅱc型の組織学的分類をこころみ,Initial lesionとして①flat polyp ②Ⅱb ③潰瘍あるⅡcの三群に分け①をadenomatous type ②を更に二つに分けdepressed typeと潰瘍のないsubmucosal typeとし,前者はⅡaのたかまりが癌で示されているもの,後者は粘膜を癌が下からもち上げているものとしている.③は潰瘍のあるsubmucosal typeである.実際,その発生経過を推定することは困難であるが,潰瘍の合併しているものは除外してⅡa+Ⅱc型も検討することにした.

 したがって,ここに検索の対象としてあげたのは,粘膜下腫瘍26例28個,腺腫性ポリープ127例187個,Ⅰ型早期癌52例55個,Ⅱa型早期癌21例27個,Ⅱa+Ⅱc型早期癌23例23個である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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