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文献詳細

雑誌文献

胃と腸6巻1号

1971年01月発行

文献概要

今月の主題 隆起性早期胃癌 主題

隆起性早期胃癌の細胞診

著者: 武田鉄太郎1 千葉寛1 山形淳1 菅原伸之1 庄司忠実1 二階堂昇1

所属機関: 1宮城県成人病センター

ページ範囲:P.63 - P.68

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はじめに

 胃疾患特に胃癌の診断にあたっては,X線および内視鏡がルーチンの検査法として広く行なわれている.両検査法の近年における進歩はめざましいものがあり,癌病巣が1cm以下の微少なものあるいはほとんど隆起や陥凹を呈さない平坦なものをもチェックできるまでになっている.胃疾患の存在診断についてはほとんどその極に至った感が深い.さらに,病変の質的診断についても驚嘆に値いする成果をあげていることは周知の通りである.

 しかしながら,現在なおX線あるいは内視鏡検査のみでは確定診断を得ることの難かしい症例があるのもまた否定できない.よって,今日胃疾患の診断にあたってはX線・内視鏡検査により病変の存在をチェックすると共に,その性状をも精細に観察し,多少とも癌を疑われる場合は,細胞診あるいは生検を積極的に施行して診断を確定するというのが常識となっている.

 X線・内視鏡検査では一般に進行癌に比較して,早期癌の診断はやや困難であり,早期癌のなかでも陥凹型よりは隆起型の方が診断に困難を覚えることが多い.このため,細胞診あるいは生検が隆起性早期胃癌の診断上に占める位置は他の場合にくらべてより重要である.

 筆者らは宮城県成人病センターで経験した胃の隆起性病変を対象として,その最終診断に至る過程をX線・内視鏡・細胞診・生検の各検査法別に比較検討すると共に,胃の隆起性病変の細胞診にあたり注意すべき2・3の問題を論じたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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