文献詳細
今月の主題 便秘と下痢
主題
便秘の臨床的諸問題
著者: 名尾良憲12 村上義次2 町井彰2 佐藤美智子2
所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター 2都立豊島病院内科
ページ範囲:P.1267 - P.1276
文献概要
便通異常の実態を外来患者について調査してみると,表11)のとおりである.すなわち,都立豊島病院内科外来患者5,490名のうち,便通異常を訴えたものは377例(6.7%)で,このうち下痢が277例(4.1%),便秘が130例(2.3%),下痢・便秘交代が20例(0.3%)となっている.なお便秘患者は下痢患者より少ないが,便秘の場合には下痢と異なって,自宅療法を行ない,来院しない患者が相当にいると考えられる.
便秘は腸疾患にもとづくことが多いが,必ずしも器質的病変によるとはかぎらず,機能的異常によることがむしろ多い.また全身性疾患の一つの症状として現われることもあるから注意しなければならない.
便秘について,まず問題となるのは,その定義である.これについては諸家の意見を徴して検討を加えた.筆者らは,とくに治療を必要とするものを便秘症とよぶことにしている.なお便秘の発生機転,分類を文献的に検討し,各種便秘の特徴,症状を述べ,さらに診断については症例をあげて解説する.
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