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文献詳細

雑誌文献

胃と腸6巻10号

1971年09月発行

文献概要

今月の主題 便秘と下痢 主題

下痢の臨床的諸問題

著者: 石川誠1 高橋恒男1

所属機関: 1東北大学医学部山形内科

ページ範囲:P.1277 - P.1283

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はじめに

 下痢は日常診療上,腹痛に次いでしばしば遭遇する症状であり,その原因となる疾患の診断およびそれに対する適切な治療は極めて重要である.

 最近2年間の筆者らの内科外来での集計では,腹痛を訴えた患者が24.5%を占めるのに対して,下痢を訴えたものは5.9%であった.

 松永ら1)の集計でも,下痢患者は全外来患者の7.6%を占めているが,約10年前の同様な集計(9.4%)と比較して減少の傾向を認め,それは社会状況の好転と自宅療法,とくに抗生物質により容易に治療できることが原因と考え,また,大学病院という特殊性による急性下痢の減少もその一つの要因として挙げている.

 このように,下痢は全体としては減少の傾向がみられ,とくに急性下痢では著しいが,逆に,抗生物質による下痢をはじめ,lactase deficiency,WDHA症候群などのように最近になってその病態が明らかとなりつつある下痢疾患もあって,下痢が依然として重要な症状の一つであることには変りない.

 ここでは,下痢に関してその病態生理のほか,原因疾患の診断,治療など臨床的諸問題について述べようと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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