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特別寄稿
米国1施設における早期胃癌統計
著者: 小林世美12 João Carlos Prolla1
所属機関: 1シカゴ大学医学部消化器科 2現在愛知県がんセンター第1内科
ページ範囲:P.1337 - P.1341
文献購入ページに移動早期胃癌の概念は,早くはEwing1),Gutmann2),Mallory3),Kohjetzny4)らの1930年代から40年にかけての記載にはじまり,Stout5)は,1942年,その論文の中で“Superficial SpreadingType”という語を使って,手術的に治癒する可能性のある癌があると述べた.Friesen6)らは,1962年,表在性の癌はStoutのいうごとく,Spreadするとは限らないとして“Spreading”を除いた“Supeficial Carcinoma”という語を使い,5年生存率93%を報告した.Stout,Friesenらの報告では,粘膜下に浸潤したものも一部含めているが,最近,Myren7)は,彼の“Early Carcinoma”の定義として“Confined to Mucosa”の癌といっている.このように,“Superficial”とか“Early”という語は各人各称の使い方で定義が一定せず,多くの場合は粘膜に限局した癌を取扱っている.
一方日本では,1962年の内視鏡学会で,早期胃癌を次のように定義した.すなわち,リンパ節転移の有無に拘らず,癌浸潤が粘膜(m),または粘膜下層(sm)にとどまるものとした.殊に,粘膜下層に浸潤していても,固有筋層に達していないものまで含めることを明確にしたことはこの日本分類の大きな特質で,後に林田,城所8)による全国集計が物語るように,smのものでも5年生存率が約87%に見られたことから,smを含めた早期胃癌の考え方が肯定されよう.
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