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文献概要
今月の主題 胃前壁病変の診断 主題
胃前壁病変の精密診断
著者: 熊倉賢二1 丸山雅一1 杉山憲義1 高田亮1 落合英朔1 竹腰隆男1 植田紘一1 山瀬裕彦1 山脇忠晴1 高木国夫2 中村恭一3
所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院外科 3癌研究会附属病院病理科
ページ範囲:P.1405 - P.1418
文献購入ページに移動進行癌や,大きな潰瘍やポリープなどがX線診断の対象になっていた時代には,胃前壁病変のX線診断はあまり問題にならなかったようである.充盈法や粘膜法,圧迫法(現在のレベルの圧迫法ではない)で診断される病変が,そのままX線診断の限界と考えられていた,ところが,仰臥位の二重造影法によって胃後壁の早期癌が適確にX線診断されるようになり,次いで,胃カメラで胃前壁の早期癌(とくに表面陥凹型早期癌Ⅱc)がぼつぼつ発見されるようになったころから,胃前壁病変のX線診断はむずかしいと取沙汰されるようになった.仰臥位の二重造影法では適確に現わしえないからである.私どもが昭和40年に胃前壁の病変のX線診断には腹臥位二重造影法がよいことをはじめて報告したのはこの頃のことである.その後,腹臥位二重造影法は急速に普及し,多くの報告が発表された.工夫も加えられた.しかし,腹臥位二重造影法は,仰臥位の二重造影法に比べて,技術的にむずかしい,胃液の多いときにはよい写真がとれない.瀑状胃や肥満者では実施できないといったことから,どうものびなやみの感がある.
これとは別に,胃前壁病変とはいっても,隆起性病変か陥凹性病変かによって,病変の大きさや陥凹の差,存在部位,それに患者の個人差などによって,X線検査の仕方も当然変ってくる.また,病変を単にチェックするだけでよいのか,それとも精密検査をして病変を忠実に現わすことが必要なのかどうかによって,X線検査は違ってくる.
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