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今月の主題 陥凹性早期胃癌 A.陥凹性早期胃癌の問題点 綜説
胃の潰瘍と癌の因果律―陥凹性早期胃癌の問題点
著者: 中村恭一1 菅野晴夫1 高木国夫2 熊倉賢二3
所属機関: 1癌研究会癌研究所病理部 2癌研究会付属病院外科 3癌研究会付属病院内科
ページ範囲:P.145 - P.156
文献購入ページに移動このように,潰瘍癌の頻度が広範囲に分散していることは,潰瘍癌と判定する組織学的基準の差によるものであり,しかも,その差は基本的な所見の違いではないと思われます.潰瘍癌の組織学的判定基準によって,潰瘍癌の頻度に広範な”ばらっき”をもたらすような不条理さが良性潰瘍と癌との間に存在することに疑問が生じます.もし良性潰瘍と癌の問に密接な因果関係が存在するとすれば,たとえ潰瘍癌の判定基準に多少の差があっても,潰瘍癌の頻度にはある近似がみられてしかるべきと考えられるからです.
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