文献詳細
今月の主題 陥凹性早期胃癌
B.診断困難例の克服 主題
文献概要
早期胃癌陥凹型といえば,つまりⅡcおよびⅢ型,それに両者のcombinationであるⅡc+Ⅲ,またはⅢ+Ⅱc型をさす.その他亜型として,ⅡcとⅡaの併存する病変も比較的よく見るものである.内視鏡的には,Ⅱcは良性潰瘍瘢痕と,Ⅱc+Ⅲ,Ⅲ+Ⅱcは治癒性良性潰瘍との鑑別困難例にしばしば遭遇する1)2).今ここで一つの陥凹型早期胃癌らしい病巣を発見した場合,癌細胞が粘膜下層(早期癌)までにとどまるか,固有筋層(進行癌)に浸潤しているかを推察することより,良性疾患との鑑別の方が臨床的に,つまり患者に対する治療面において遙かに重要なことである.筆者らは良性,悪性の鑑別が難しかった陥凹型早期胃癌例における反省から,表在性胃癌の特徴的所見であるⅡcにつき考察を深めるため,retrospectiveに症例検討を試みた.
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