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文献詳細

雑誌文献

胃と腸6巻3号

1971年03月発行

今月の主題 早期胃癌と紛らわしい病変

主題

早期胃癌と紛らわしい病変の内視鏡診断

著者: 崔相羽12 佐田博2 薄井武人1 小泉和雄1 安藤彰彦1 竹田彬一2

所属機関: 1昭和大学医学部外科 2早期胃癌検診協会中央診療所

ページ範囲:P.289 - P.298

文献概要

はじめに

 数年前までは,良性潰瘍の増悪期あるいはその不完全な治癒過程の病像やその完成した瘢痕,良性びらん,慢性胃炎あるいはポリープなどが早期胃癌と紛らわしい病変の主役をなしていた.しかし,これら病変の鑑別診断については今日のような早期胃癌に対する診断学が進歩する過程において,数多くの研究がなされ,すでにほとんど集大成されたようにも思われる.しかし,日常癌を見逃がすまいとする内視境検査の場においては,これら良性病変の作り出す病像が多彩であるため,今もなお,その良悪性の鑑別に苦慮することがしばしばである.さらに,最近は胃生検をはじめとする内視鏡診断能の進歩と普及により,以前にはあまり知られていなかった悪性リンパ腫,reactive lymphoreticular hyperplasia(RLH),好酸球肉芽腫,胃梅毒,またはいわゆる異型上皮などが内視鏡診断上,早期胃癌類似病変として経験されるようになってきた.このように,早期胃癌と紛らわしい病変は言葉をかえればfalse positiveの病変として筆者らを悩ませているわけである.胃集検などによる早期胃癌発見率の向上により,従来あまりみられなかった非定型的な早期胃癌症例,微小早期癌,Ⅱb病変などが術前に診断されるようになり,他方その面でもうかうか診断に従事することができなくなった.これらの病変はfalse negativeの病変として筆者らの関心をひく.これら両面から早期胃癌と紛らわしい病変の大部分は,すでに本誌2巻5号の総説をはじめ,多数の論文,著書などがあるので別に事新しい問題ではないが,表題のごときテーマを与えられたので,筆者らが経験した早期胃癌と誤診され易い良性病変および良性病変と誤診し易い早期胃癌の内祝鏡診断について述べてみたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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