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文献詳細

雑誌文献

胃と腸6巻3号

1971年03月発行

一頁講座

早期胃癌の肉眼診断 私のメモから―(その6)いわゆる潰瘍癌の深達度診断

著者: 佐野量造1

所属機関: 1国立がんセンター病理部

ページ範囲:P.342 - P.342

文献概要

1.早期胃癌の深達度診断はどの程度まで可能か―smの癌で深達度が判かるのは50%程度―

 smに浸潤している早期癌といっても,組織学的に調べるとピンからキリまであります.顕微鏡でやっとsmの浸潤が認められる程度のものから,これが早期癌かと思われる程に広くsmに浸潤しているものまでその程度は全く多様です.以上のような理由で肉眼的にmとsmの癌を区別するのにはおのずから制約があります.いま,潰瘍を伴う型の癌のsmに浸潤している程度を+(ミクロでsmの浸潤が判かる程度),++(潰瘍縁の1部にある程度の拡がりを有しているもの),+++(潰瘍の周囲にかなり広く浸潤しているもの)の3種に分けて調べると,70例では+21%,++48%,+++31%の割合になります.

 +の程度ではsmの肉眼診断はまず不可能で,mの癌と区別がつきません.+++のものは診断可能.++のものは診断できるものと,できないものが半々程度です.こうしてみるとsmの肉眼診断可能例は50%程度ではないかと思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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