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症例
境界領域のビランを母地としたⅡc+Ⅱa型微小早期胃癌の1例
著者: 赤坂裕三1 小林顕彦1 植松寿樹1 井田和徳1 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学増田内科
ページ範囲:P.355 - P.360
文献購入ページに移動最近の胃X線,内視鏡検査の診断能の向上は著しく,多数の早期胃癌が発見されるようになったが,一方ではそれでも術前に癌の拡がりを正確に捉えることが難かしい症例も次第に報告されるようになってきた1).確かに,切除胃の組織学的所見とX線または内視鏡所見の把握(時には肉眼所見も含めて)にかなりの差を認めるために,さらに注意深い観察のみならず,何らかの補助的診断法の導入または基礎的なgastric areaの解析が望まれる症例も少なくない.すなわち,早期胃癌の病像がその内部や周辺の潰瘍性病変や隆起性病変に修飾されることに注目して癌の拡がりを診断し,組織所見との精確な対比による病像の解析を常々行なう習慣づけが望ましい.本例は,病理組織学的な検討による癌の局在がやや特異的で,生検採取部位の決定にあたっても注意しなければならない2,3の興味ある所見がみられたので報告する.
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