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文献詳細

雑誌文献

胃と腸6巻8号

1971年07月発行

今月の主題 幽門部(pyloric portion)の診断

主題

幽門部とその近傍病変の内視鏡診断

著者: 倉俣英夫1 宇南山史郎1 衛藤繁男1 坪井晟2 風戸計民2 須賀井忠男3 田村暢男3 松岡規男4

所属機関: 1神奈川県立成人病センター内視鏡 2神奈川県立成人病センター放射線 3神奈川県立成人病センター外科 4神奈川県立成人病センター病理

ページ範囲:P.1015 - P.1025

文献概要

はじめに

 従来,胃内視鏡検査にあたっては,胃上部とか胃角対側大彎部が検査の盲点とされてきたが,最近では器械の高度な発達と熟練せる手技によって胃内病変に対し検査の盲点は一応なくなったと思われる.しかしながら,場所によってはなお検査を行なうのに充分の注意と努力を払わねばならない所もある.すなわち,病変の種類によって,また部位によって起こされる変形や狭窄のために検査が不能になったり,あるいは観察,読影の不正確,粗漏をきたし,そのために病変が見落される場合も決して少なくはない.幽門部ならびにその近傍はこれに当るものと思われる.筆者は,現在まで主としてP2型,V型,Va型胃カメラでroutineの胃内撮影を行なってきているが,幽門部ならびに近傍が胃カメラで果して満足し得る程度に撮れているだろうかという疑問は,常に抱いていた.数年前までは「大体幽門部は撮れている」という程度のものも最近の目でみると,実際には前庭部の半分位までしか読影できぬものがかなりあった.こういう感想は筆者だけのものではない,過去の文献や報告でも幽門部の実際の描写精度については余り触れられていなかったようである.このように,今から振り返るとかなり甘い検査で経過するものがあったために,幽門部附近の胃内視鏡所見では,はっきり病像をつかまえてないのに,その病変部から胃生検によって癌を確診し得た症例を何回か経験するにいたってはじめて幽門部附近の内視鏡検査が簡単なことではないと思い知らされた次第である,以下,筆者らが幽門部に特に注意を払うに到った次第を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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