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文献詳細

雑誌文献

胃と腸6巻8号

1971年07月発行

技術解説

大彎側のⅡcの圧迫検査について

著者: 熊倉賢二1

所属機関: 1癌研究会付属病院内科

ページ範囲:P.1063 - P.1068

文献概要

はじめに

 戦後,外国の書籍が開禁になって,どっとわが国にも輸入され始めた頃のことである.筆者は,BückerのGastritis,Ulkus und Karzinomにのっている圧迫像に魅せられてしまった.それに負けまいとして,圧迫像をさかんに撮ってはみたものの,造影剤の量や撮影体位,圧迫の程度や方向,被検者の個人差などによって,うまくいった場合もあったが,失敗することも多かった.elastischな検査とは,まさに圧迫法に最もよくあてはまると思ったほどである.

 その後,二重造影法があまりにも普及しすぎて今や二重造影法中毒の時代になってしまったようである.しかし,二重造影法にも欠点はあるし,限界もある.たとえば,隆起性病変やⅡcの微小なものは圧迫法でないと適確に描写できないことがよくある.そこで,筆者の病院で,遠隔操作によるX線テレビを使って,胃のルーチン検査を実施する際には,充盈法や二重造影法のほかに,圧迫法を不可欠の検査としている.今までのX線装置に比べて,X線テレビでは,はるかに微細な所見までもが透視でよくみえるので,圧迫法の威力は大きいのである.

 一方,数年前,ヨーロッパの学会に出席して,世界の趨勢を見聞してこられた白壁先生から,Frikなどのドイツ学派の圧迫像が実にすばらしいといった話をきいたことがある.また,近年,青山大三先生が,Bückerは胃全体を圧迫像で見事に描写すると絶讃しておられた.両先生の話を思い出したり,X線テレビの発達などを考え合せると,今後,胃のX線検査にはX線テレビを利用した圧迫法が大いに活用されるようになるであろう.

 そこで,今回は,胃の大彎側の比較的大きなⅡcの症例を例にして,圧迫法を検討してみる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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