文献詳細
文献概要
今月の主題 幽門部(pyloric portion)の病変 主題
内視鏡的立場よりみた幽門部運動
著者: 福地創太郎1
所属機関: 1虎ノ門病院消化器学科
ページ範囲:P.1133 - P.1139
文献購入ページに移動 内視鏡的に観察される胃運動には,①幽門前庭部を中心とする蠕動運動とそれに伴う幽門運動の他に,②搏動による運動,③呼吸に伴う運動,④胃壁の緊張度の変化に伴う運動がある.
搏動は胃体部後壁にしばしば認められるが,これは脾動脈の搏動が伝わるものと考えられている.呼吸に伴う横隔膜の上下運動により,胃は著しくよく動き視野が移動するが,この運動を意識的に活用して,病変部を視野の中央にもたらし,正面から至適条件下で観察することは,FGSによる直視下胃内観察における基本的なテクニックの一つであることはいうまでもない.胃壁緊張の変化に伴う運動には二種あり,一つは胃の被刺激性の亢進状態において惹き起される局所的な攣縮(Spasmus)で,もう一つは胃内空気量の増減による胃壁の伸展度の変化に基づくものである.前者は不適切な器機挿入による刺激と患者の過度な緊張によって生じることが多い.しばしば胃体上部にみられ,大彎および後壁を中心に,胃内腔を絞扼する環状の収縮を起し,深部への挿入が妨げられることがある.特に爆状胃の傾向がある場合や,胃体高位後壁潰瘍で機能的攣縮を伴う場合に生じやすい.このような場合,無理な挿入を避け,患者に腹式呼吸をさせながら充分リラックスさせ徐々に送気を行なうとSpasmusは自然に緩解するのが常である.同様のSpasmusは噴門直上や胃角部の所謂musculus sphincter antriに相当する部位でも起ることがあるが,一旦幽門洞まで挿入し,送気により胃壁が拡張すると,患者は次第に安静となり,もはやSpasmusにより観察が妨げられることは稀である.
搏動は胃体部後壁にしばしば認められるが,これは脾動脈の搏動が伝わるものと考えられている.呼吸に伴う横隔膜の上下運動により,胃は著しくよく動き視野が移動するが,この運動を意識的に活用して,病変部を視野の中央にもたらし,正面から至適条件下で観察することは,FGSによる直視下胃内観察における基本的なテクニックの一つであることはいうまでもない.胃壁緊張の変化に伴う運動には二種あり,一つは胃の被刺激性の亢進状態において惹き起される局所的な攣縮(Spasmus)で,もう一つは胃内空気量の増減による胃壁の伸展度の変化に基づくものである.前者は不適切な器機挿入による刺激と患者の過度な緊張によって生じることが多い.しばしば胃体上部にみられ,大彎および後壁を中心に,胃内腔を絞扼する環状の収縮を起し,深部への挿入が妨げられることがある.特に爆状胃の傾向がある場合や,胃体高位後壁潰瘍で機能的攣縮を伴う場合に生じやすい.このような場合,無理な挿入を避け,患者に腹式呼吸をさせながら充分リラックスさせ徐々に送気を行なうとSpasmusは自然に緩解するのが常である.同様のSpasmusは噴門直上や胃角部の所謂musculus sphincter antriに相当する部位でも起ることがあるが,一旦幽門洞まで挿入し,送気により胃壁が拡張すると,患者は次第に安静となり,もはやSpasmusにより観察が妨げられることは稀である.
掲載誌情報