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文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻1号

1972年01月発行

文献概要

今月の主題 Ⅱb型早期胃癌 主題

Ⅱb型早期胃癌の病理

著者: 中村恭一1 菅野晴夫1 熊倉賢二2 丸山雅一2 高木国夫3

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理部 2癌研究会癌研究所内科 3癌研究会癌研究所外科

ページ範囲:P.47 - P.53

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 わが国における胃癌のX線・内視鏡診断学の進歩にはめざましいものがあり,早期癌が数多く発見されている.そして,診断学の進歩は全体的にみた胃癌の予後改善に大きく寄与している.現在では,診断の困難な形態変化の弱い“所謂Ⅱb型早期癌”および“小さな癌”をいかにして発見すべきかが問題となっている.このように,形態面からの胃癌診断学は極限の追求ともいうべき方向に向っている.しかしながら,臨床的に診断困難な“Ⅱb型早期癌”および“微小癌”は,病理形態学的に診断という点においては問題とならない.このことは,病理形態学は癌を顕微鏡で直接認識しうるという手段から考えて自明である.また,癌の組織発生という点についても,癌は胃の粘膜から発生するものであるから,すべての胃癌はⅡb(村上教授のいう癌発生点の状態)から出発して,癌が大きくなるにしたがって他の型に変化して行くということも自明である.

 このように,Ⅱbは臨床的には“診断困難な”ということで重要であるが,病理面においては“癌の一つの存在様式である”ということだけである.ここで,筆者らはⅡbの病理形態の記述のみではなく,診断困難な癌すなわち“Ⅱb型早期癌”および“微小癌”というものの病理形態学的な面を若干述べてみたい.“Ⅱb型早期癌”に加えて“微小癌”をも対象としたことは,“診断困難な癌”という条件によって制限された集合において両者は同類であり,それらを概観することは臨床病理として意味があると思われるからである.また,早期胃癌分類法を全早期癌に適用する場合には,癌の大きさの点を無視することができないから(後述).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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