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文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻11号

1972年11月発行

文献概要

寄稿

早期胃癌の40年

著者: René-A. Gutmann

所属機関: 1フランス医学アカデミー会員

ページ範囲:P.1540 - P.1543

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 貴誌1972年4月号「早期胃癌肉眼分類起草10年」の主題である討論に参加することをお許し願いたい.また,10年という表題に,40年という私のタイトルを追加させて頂きたいものである.私は分類の重要性,早期胃癌の定義など,二三の点を検討し,併せて,貴誌の読後感を率直にのべてみたい.

分類の重要性

 私の感じでは,日本の方たちは分類というものの評価が大袈裟だと思う.そのため,早期診断の新しい研究まで,日本式分類「以前」と,「以後」の,二つの時期に分類されてしまった.また,「以前」には,もう時代おくれになった肉眼的定義が使われていたとお考えのようだ.しかしながら,日本式分類は,まさしく肉眼分類そのものではないだろうか?切除胃で観察した病変の代りに,ファイバースコープを通して眼でみた病変の,肉眼的外観を提案するだけのことではないのだろうか?どちらの記載法にしろ,顕微鏡の助けなくしては,粘膜内に限局する癌(後でわかるように「早期癌」)に関係があるのか,癌が境界を越えて浸襲しはじめているのか(これはまさに「進行癌」のはじまり),決定でき得ない.したがって,私が40年前に行なった分類(ulcer-like,infiltrating,tumorous forms)は,日本式分類に劣らず正確であり,それと同様不十分でもある.なぜなら,両方とも「早期癌」に先がけて存在すべき,分類の確実さを立証するためには,ひきつづいて,顕微鏡的検査を必要とするので,両時期間の新分野となるには不十分なのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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