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文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻12号

1972年12月発行

文献概要

今月の主題 腸の潰瘍性病変 主題

腸の潰瘍性病変のX線診断

著者: 山田達哉1 堀越寛1 土井偉誉1 笹川道三1 松江寛人1 山本鼎1 木下昭雄1 牛尾恭輔1 萩原健一1 古賀俊彦1 市川平三郎1

所属機関: 1国立がんセンター

ページ範囲:P.1605 - P.1614

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 胃のX線診断学は,本邦においては,近年著るしい進歩を遂げている.その結果,多数の早期胃癌が,日常の診療時に容易に発見されるようになってきた.しかし腸のX線診断に関しては,胃の場合のような進歩は,いまだ見られていないように思われる.もちろん腸といっても,小腸と大腸とではかなりようすが異なる.

 大腸に関しては,最近,早期大腸癌のX線診断が話題になりつつある.従来はX線で診断された大腸癌のほとんどが進行癌であったことから考えると,大腸のX線診断は進歩しつつあるといってよいであろう.大腸のX線検査法も注腸法からFischerの二重造影法へ,ついでWelinの二重造影法,さらに最近では,Brownの直接二重造影法が広く行なわれつつある.二重造影法によって,胃の場合と同様に腸粘膜の微細所見を,比較的容易にX線像として描写することが可能になってきた.その結果,大腸癌の早期X線診断が,徐徐にではあるがなされつつあるのが現状である.従って,胃のX線診断で見られたのと同様な進歩が,大腸のX線診断で実現する日も近いように思われる.しかしながら,小腸に関しては,本邦に小腸疾患が少ないこと,小腸そのものが著るしく長く,X線検査が繁雑であること,胃や大腸のように二重造影法を実施することは,一般にはなかなか困難なことなど,様々な悪条件があるために現状では残念ながらX線診断上で進歩らしいものが見られていないというのが実状であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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