今月の主題 腸の潰瘍性病変
座談会
腸の潰瘍性病変
著者:
石川誠1
馬場正三2
八尾恒良3
望月孝規4
市川平三郎5
所属機関:
1東北大学・内科
2慶応義塾大学・外科
3九州大学・内科
4虎の門病院・病理学科
5国立がんセンター・集検部
ページ範囲:P.1620 - P.1630
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市川(司会) 今日は「腸の潰瘍性病変」ということで座談会をいたします.皆さんベテランの先生方ですから,自由にご発言いただきたいと思います.さて,人間の病気はほんとうの原因はわからないのが多いわけですけれども,その中でもとくに腸の潰瘍性病変という今日の話題のものは,わからない面が非常にあると思います.たとえば,十二指腸潰瘍というと,もうわかったような感じがしますけれども,それはただ十二指腸にある潰瘍といっているだけのことで,数が多いために,ある程度の概念はわかっていても,本質的にはわからない面がたくさんあると思います.小腸の潰瘍,大腸の潰瘍についても同じようなことがいえるのではないかと思います.そういう面からいいますと,きわめて未開の分野であると思います.したがって,話題として出てくる病名も,実際はある病気の一部しかいっていないようなことも多いのではないかと思います.けれども,腸の病変が注目され始めておりますので,現在われわれが持っている知識,また変なところで誤解しているような面を洗いざらい出していただいて,話題にすることは非常に有意義ではないかと思いますので,どうぞ活発にお話をいただきたいと思います.
病気の種類
順序として小腸から大腸にいきたいと思いますが,小腸では,潰瘍性病変ということになるとCrohn氏病,またの名は限局性回腸炎,小腸炎,小腸結核,そのほか非特異性の潰瘍などいろいろなものがあります.ところが,それ以外となると,あるにはあっても,小腸独特の病気としてはないものが多いように思うんですけれども,いかがでしょうか.そのほかに,こういうのが小腸の潰瘍性病変といえばいわなくてはならないというものはありますか.