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文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻12号

1972年12月発行

文献概要

研究

腸の出血性潰瘍性病変の病像―主として腸血流障害の面から

著者: 山城守也1 土屋周二2 石川浩一2

所属機関: 1東京都養育院付属病院外科 2東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1663 - P.1670

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 腸管に非特異的に発生する出血性潰瘍性病変は,十二指腸潰瘍など消化性のものを除くと一般にまれとされている.限局性腸炎,非特異性潰瘍性大腸炎,放射線照射による腸潰瘍など比較的はっきりした疾患単位としてとりあげられるものもあるが,潰瘍性病変そのものの発生原因,誘因に関しては議論の余地が多い.

 “胃潰瘍”や“十二指腸潰瘍”などの呼び方は,単に潰瘍の発生部位を示すものであり,発生原因を暗示するものではない.これと同じく腸の非特異性潰瘍,単純性潰瘍の呼び方も単なる病変の存在を示すだけの名称であるが,その発生原因の検索が,胃・十二指腸潰瘍に比べて立遅れているため,このような呼び方がなお繁用されている.また発生原因の明らかなものに,腸間膜動脈閉塞や絞扼性イレウスのときにみられる出血性腸壊死のような阻血性変化があるが,このような場合臨床的には,腸管の病変はむしろ二次的なものとして片付けられることが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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