今月の主題 早期胃癌臨床診断の実態(診断成績の推移と問題点)
主題
早期胃癌臨床診断の実態
著者:
横山秀吉1
長与健夫2
所属機関:
1横山胃腸科病院
2愛知がんセンター病理部
ページ範囲:P.291 - P.294
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早期胃癌臨床診断の年次推移に関しては,既に胃癌研究会や1971年10月日本臨床外科医学会総会に於て説述せるごとく,1955年X線だけの時は年平均10例,1959年胃カメラ併用により平均35例,1962年ファイバースコープ併用により平均45例,1966年X線テレビの併用で平均50例,そして1968年生検の併用で年平均60例であった.すなわち,早期胃癌発見の年次別頻度の増加は表のごとく診断用器具の開発とその診断技術の進歩によるといえる.しかし早期胃癌の病態やその発見の動機を詳細に検討してみると,必ずしも症例数の増加は臨床診断にのみ依存するとはいえない.よって今回は色々の要素を考慮して,早期胃癌臨床診断の実態とその問題点につき報告する.資料は1952年2月より1970年12月までの,早期胃癌597例およびこれに関連せる症例144例計741例である.この症例中には集検による例は含まれていない.診断法は,1962年早期胃癌全国集計の頃は,500mAレントゲン,胃カメラⅢ型,Ⅳ型(A・B)およびHirschowitzのファイバースコープのみであった.そして1968年以後はX線テレビ,胃カメラVa,GTFS,町田SLファイバースコープ,生検は町田BLを使用している.その他の詳細は表に示す通りである.