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文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻6号

1972年06月発行

文献概要

今月の主題 胃癌浸潤程度の診断 主題

胃癌の浸潤範囲のX線診断

著者: 古賀充1 清成秀康1 石橋龍人1 稲倉正孝1 渡辺教文1 中田新一郎1 武田儀之1 松浦啓一1 井口潔2 副島一彦2 大里敬一3 伊藤英明3 古沢元之助4 楢本純一4 武富弘行4 馬屋原晟5 古賀安彦5 松浦竜二5 片山仁1

所属機関: 1九州大学医学部放射線科 2九州大学医学部井口外科 3九州大学医学部西村外科 4国立病院九州がんセンター 5国立福岡中央病院

ページ範囲:P.715 - P.724

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 胃疾患に対するX線,内視鏡および生検などの各種診断法の最近の進歩は著しく,胃癌の性状診断については,ほとんど確立された観がある.胃癌の性状診断の決め手となるX線学的な特徴としては,粘膜すう襞の中断,太まり,細まり,虫くい,不整な陥凹,陥凹周辺の隆起,胃小区の変北,隆起等がある.この様な形態的な特徴は,比較的X線写真に表現されやすいため,現在のところ,我々にとって最も信頼できる所見である.しかし,これは,病変を全体として(病変を面として)とらえた場合であっ断,太まり,細まて,きわめて部分的に見た場合,粘膜すう襞の中り,虫くい,不整陥凹の陥凹線,周辺隆起等がそのまま健常部分と癌との境界になるかどうかは問題である.

 このように,胃癌の浸潤範囲を正確に決定することは,必ずしも容易なことではないが,臨床的には,胃切除範囲の決定に欠くことができない.また,肉眼的に癌の境界がはっきりしないが,組織学的に癌の存在が確認された部位のX線像を詳細に検討することは,とりもなおさず,平坦型のⅡb~Ⅱb類似の癌のX線所見を検討することになる.したがって,胃癌の初期像の分析をすることになり,X線診断の限界を伸ばすのに役立つと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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