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文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻6号

1972年06月発行

文献概要

今月の主題 胃癌浸潤程度の診断 主題

X線診断における胃癌の深達度の推定について

著者: 中井昭子1 谷口春生2 岩永剛3 酒井淑子1 松田一1

所属機関: 1大阪府立成人病センター放射線部 2大阪府立成人病センター病理 3大阪府立成人病センター外科

ページ範囲:P.739 - P.751

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 X線検査による胃癌の深達度診断の可能性は,癌の胃壁深層への浸潤が肉眼的形態にどのような変化をもたらすかということと,その肉眼的形態の変化がX線像の上にどのように反映されるかという点に依存している.一般に,胃癌は進行に伴って,大きさを増し,粘膜面の隆起が高まり,陥凹が深くなり,胃壁硬化が増強し,遂には進行癌の形態を示すようになる.昨今,胃癌の診断法の進歩ならびに普及によって早期胃癌症例が増加するに伴い,早期類似進行癌,すなわち肉眼的形態は早期胃癌に類似しながら,組織検索によって深部浸潤をみとめる進行胃癌症例や,逆に,進行癌類似の肉眼形態を示しながら早期胃癌であった症例に遭遇する機会が多くなった.ここに肉眼的検査法であるX線診断における深達度推定の可能性が問題として提起されるようになった.

 胃癌の深達度診断に関しては,すでに各分野において研究発表が行なわれており,1971年10月,津にて開催された日本医学放射線学会第7回臨床シンポジウム部会においても,白壁,佐野両博士の司会の下に,“胃癌の浸潤範囲と深達度の診断”という議題で取りあげられた.本稿は,このシンポジウムにわれわれが発表した内容を中心として,自験胃癌症例にもとづいて,X線診断の立場から深達度推定の現状を分析し,その可能性を検討したものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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