icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻9号

1972年09月発行

今月の主題 胃集検で発見された胃潰瘍

主題

健康管理の立場からみた胃潰瘍

著者: 高田洋12

所属機関: 1早期胃癌検診協会中央診療所 2京都府立医科大学第3内科

ページ範囲:P.1201 - P.1204

文献概要

Ⅰ.潰瘍患者対策としての胃集検の意義

 胃集団検診のそもそもの出発点に於ける第一の目標は,胃癌の早期発見,就中早期胃癌の発見にあり,これと関連したその他の良性胃疾患,例えば胃・十二指腸潰瘍,胃ポリープ状隆起性病変の発見はむしろ附随的な意味をもつものであった.しかし,現実的には集検により発見される胃癌患者はたかだか0.1~0.5%程度の頻度にしか過ぎないのである.勿論致命的な疾患である以上,発見数の多寡によってその評価を低くみる考えは毛頭ない.しかし,胃癌の10ないし20倍の頻度の消化性潰瘍が発見されて来た事実は,まさに注目に値するものである,本来,癌に比べ愁訴を有することが多いと考えられていた潰瘍患者が,実は無自覚あるいは一過性のごく軽度の心窩部不快感,圧重感等を感じるのみで,実際には健康だと考えて日常の生活を送っていることの少なくないことが明らかとなった.一方また,消化器症状を訴えつつも器質的変化を証明できず,癌ノイローゼ傾向の強い人達も多い.それでこれらに対する対策が重要視されねばならないのは当然の帰結といってよい.したがって胃癌の発見に重点をおく地域住民を対象とした集検はともかく,職域における胃集検には早期胃癌の発見もさることながら,消化性潰瘍患者の発見とその対策という点に大きな意義をもたせるべきことをかねてより主張して来た.ここに職域集団の健康管理対策の一環としての胃集検の意義を強調するものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら