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文献詳細

雑誌文献

胃と腸7巻9号

1972年09月発行

文献概要

症例

いわゆるびらん性胃炎のX線・内視鏡像に酷似した若年者胃転移癌の1例―横行結腸原発症例

著者: 磨伊正義1 森田弘之1 渡辺騏七郎2 武川昭男2 大和一夫3

所属機関: 1国立金沢病院外科 2国立金沢病院病理 3金沢市

ページ範囲:P.1209 - P.1215

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 最近の胃診断学の進歩によって,いわゆるびらん性胃炎がにわかに注目されている.その肉眼像は特異であり,タコイボ型,ポリープ型,蛇行型,棍棒型などがあげられている1).筆者らは最近,いわゆるタコイボ型びらん性胃炎のX線ならびに内視鏡像ときわめて酷似した若年者胃転移癌の1例を経験したので報告する.

症例

 患 者:岡○美○子 22歳 女

 主 訴:心窩部鈍痛.

 家族歴;特記すべきことなし.

 既往歴:昭和44年8月(当時20歳),当科で横行結腸癌の診断にて結腸右半切除を施行,6×4.5cm大のBorrmannⅡ型の潰瘍形成癌で,組織学的には全層を侵す粘液細胞結節癌(mucocellulonodular carcinoma)を示した(Fig. 8).腫瘍細胞のリンパ管侵入像が散見され,また稀ながら静脈内侵入像も認めた(Fig. 9).領域リンパ節25個のうち,5個のものに同様組織像からなる転移を認めた.Dukes Cの癌であり,断端部への癌細胞の波及は認めなかった.術後化学療法を施行し,46病日に退院し,以後経過良好であった.なお,手術後の胃X線検査では全く異常を認められなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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