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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻10号

1973年10月発行

文献概要

今月の主題 表層拡大型胃癌 主題

表層拡大型胃癌の内視鏡診断―とくに表層拡大型早期胃癌について

著者: 沢田好明1 池口祥一1 松沢良和1 信田重光1 村上忠重2

所属機関: 1順天堂大学消化器外科 2東京医科歯科大学第1外科

ページ範囲:P.1327 - P.1333

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 表層拡大型早期胃癌(superficial spreading type of early gastric cancer,以下SSCと略す)は外科医にとってやっかいな存在である.術前にその拡大した癌病巣の全貌を的確にとらえることができないと,切除範囲の選択を誤り,揚合によっては切り足しを必要とすることとなり,またときによっては癌巣を完全に切除し得ていないという事態も出てくるからである.

 われわれの教室における昭和42年5月から47年3月までの5カ年間の早期胃癌切除例数は195例であるが,これらのうち,病理組織学的検索により確認した癌病巣の拡がりが5.0×5.0cmをこえる,いわゆるSSCの症例は39例で,早期胃癌の20.0%であった.すなわち早期胃癌のなかで5例に1例はSSCがあるということであり,この確率は決して低いものではない.しかるに従来は日常の内視鏡検査に際して,このようなことはあまり念頭におかれていなかったといってよいであろう.もちろん外科の立場としては,とくに病巣の噴門側境界については常に厳しく観察を行なってきたつもりであるが,これをSSCとして把握したことは少なく,またその全貌を的確にとらえ得たSSC症例も多くはない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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