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胃と腸ノート
Segmental Colitis
著者: 長廻紘1 竹本忠良
所属機関: 1東京女子医科大学消化器内科
ページ範囲:P.1366 - P.1366
文献購入ページに移動 Segmental colitisは直腸が病変におかされていない,すなわち両端に正常部を有する大腸炎一般をいい,病変の分布様式だけを示す.病名とは直結しないnon-specificな言葉である.right-sided colitisと同義的に用いられることもあるが,segmental colitisの方が範囲は広い.segmental colitisに対する考え方も時代とともに変化してきているが,一番問題となるのは“ulcerative” colitisとの関係である.潰瘍性大腸炎は直腸に始まり,次第に口側へ進展する.すなわち程度の差はあっても必ず直腸には病変が存在する,と考えられている.
1930年にBargenがregional migratory ulcerative colitisという論文を発表し,直腸が正常である潰瘍性大腸炎の亜型を提唱した.Crohnらのregional ileitis(1932年)に先だつこと2年である.Crohnの発表のすぐあとで同じような病変が大腸にもみられるという報告(Colp,1934年)があったが,Crohn自身が大腸に限局したCrohn病というものに対して懐疑的であったことと,Crohn病について始めて系統的にその病理組織像を記載したHadfieldがgranulomの存在を強調した(決してessentialとはいっていないが)ことなどもあって1950年代までは大腸に限局したCrohn病は稀(Warren & Scmmer etc.)という考え方が一般的であった.典型的なsarcoid-like granulomの認められない症例はsegmental colitisでも潰瘍性大腸炎とされることが多かった.1959年に発表されたMarshakの論文は,この問題に対する当時の一般的な考え方を次のように要約している.『segmental granulomatous colitisは,segmental ulcerative colitisほどは理解されておらず,また前者を認めるか否かということは議論の分れるところである.ある病理学者はこれを潰瘍性大腸炎の慢性型と考え,また他のものは大腸のregional enteritisと考えている.更に別の人は,segmental granulomatous colitisを別の病気と考えている』.大腸のCrohn病が疾患概念として確立されたのは1960年代のLockhart-Mummery & Morsonの一連の発表以来であり,それ以前は大腸のCrohn病については混乱が多かった.彼達は同時にまたCrohn病をgranulomの呪縛から解放した.それ以来segmental colitisの大部分はCrohn's Colitisと診断されることが多い.
1930年にBargenがregional migratory ulcerative colitisという論文を発表し,直腸が正常である潰瘍性大腸炎の亜型を提唱した.Crohnらのregional ileitis(1932年)に先だつこと2年である.Crohnの発表のすぐあとで同じような病変が大腸にもみられるという報告(Colp,1934年)があったが,Crohn自身が大腸に限局したCrohn病というものに対して懐疑的であったことと,Crohn病について始めて系統的にその病理組織像を記載したHadfieldがgranulomの存在を強調した(決してessentialとはいっていないが)ことなどもあって1950年代までは大腸に限局したCrohn病は稀(Warren & Scmmer etc.)という考え方が一般的であった.典型的なsarcoid-like granulomの認められない症例はsegmental colitisでも潰瘍性大腸炎とされることが多かった.1959年に発表されたMarshakの論文は,この問題に対する当時の一般的な考え方を次のように要約している.『segmental granulomatous colitisは,segmental ulcerative colitisほどは理解されておらず,また前者を認めるか否かということは議論の分れるところである.ある病理学者はこれを潰瘍性大腸炎の慢性型と考え,また他のものは大腸のregional enteritisと考えている.更に別の人は,segmental granulomatous colitisを別の病気と考えている』.大腸のCrohn病が疾患概念として確立されたのは1960年代のLockhart-Mummery & Morsonの一連の発表以来であり,それ以前は大腸のCrohn病については混乱が多かった.彼達は同時にまたCrohn病をgranulomの呪縛から解放した.それ以来segmental colitisの大部分はCrohn's Colitisと診断されることが多い.
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