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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻10号

1973年10月発行

症例

KCl腸溶錠による小腸潰瘍の1例

著者: 野村益世1 瀬尾研一1 北村勇1 大森高明1 団野誠2 木山保2

所属機関: 1関東中央病院内科 2関東中央病院外科

ページ範囲:P.1387 - P.1391

文献概要

 腸チフス,結核,梅毒,寄生虫,Crohn病,膠原病,尿毒症,メッケル憩室,Zollinger-Ellison症候群,胃腸吻合,レ線照射などとは関係のない,原因不明のいわゆる非特異的小腸潰瘍25)は,従来まれと考えられていたが,欧米では1960年頃から急速に増加し注目を引いた1)~6).症例数の増加のほかに,臨床像にも変化がみられ,以前には穿孔が多かったのに対し,1960年以降では閉塞を起す例が多くなってきた2)7)~9).これらの症例中には,当時急速に普及したサイアザイド系利尿剤とその副作用であるK喪失を補うためのKCl腸溶錠投与を受けている例が多い事が報告された1)~5)7)8).臨床的にサイアザイドよりもKCI腸溶錠の方が関係が深いとされ,実験的にイヌ・サルなどにサイアザイドではできなかった小腸潰瘍がKCI錠によって作成されるにいたった4)8)10)11).このようにKCl腸溶錠によって小腸潰瘍が起るという考え方は,欧米ではほぼ確立されたものであり,その症例はすでに数百例に達するもようである.これに対し本邦では著者らの調べえたかぎり,まだ1例の報告もないようである.著者らは最近KCl腸溶錠によると思われる小腸潰瘍の1例を経験したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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