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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻10号

1973年10月発行

文献概要

研究

胃癌深達度判定を目的とした一試み―胃固有粘膜下層への水注入法

著者: 高橋通宏1 吉田弘一1 池内広重1 町田哲太1 押部光正1 星曠夫1

所属機関: 1宮城県立成人病センター外科

ページ範囲:P.1393 - P.1397

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 近年,胃レ線診断,内視鏡診断の充実により,早期胃癌症例は急激に増加してきたことは周知の事実である.しかし,日ごろ症例によっては進行癌との鑑別が必ずしも容易でない場合に遭遇する機会も多い.したがってそれら症例の術前診断法の確立が望まれる現状である.現在この点に関しては,肉眼および内視鏡的所見の立場から,奥田,広門らが癌病変部の硬化度,皺襞の形態等を検討し深達度の推定を試みている.近年,佐野らも同様の視点からの考察を発表している.

 しかし,結論として諸家は,胃癌深達度の判定はおのおの判定基準に基づいてかなり可能であるとしながらも,なお検討の余地を残している.その背景には,各症例の深達形式の多様性および随伴病変,さらには癌浸潤に伴う間質反応の存在等が関与し,一定の尺度に必ずしもあてはめがたい問題となっているからと考える.もとより深達度は,胃壁の立体構造を対象とするもので,現在の内視鏡診断を中心とする診断方法では“推定”の域を脱しえぬ方法論上の限界ともみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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