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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻11号

1973年11月発行

文献概要

今月の主題 症例・研究特集 症例

興味ある経過を示した早期胃癌の1例―隆起性病変からⅡa+Ⅱcへの過程

著者: 中津川直人1 若林敏之2

所属機関: 1中津川内科 2松下電器健康管理センター

ページ範囲:P.1451 - P.1456

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 胃の隆起性病変と総称される疾患のなかには,診断学的にさほど困難を感じない典型的なBorrmann Ⅰ型の癌や,粘膜下腫瘍なども含まれるが,鑑別診断のむずかしい症例も数多く存在する.臨床的にも病理学的にも,そのcriteriaがほぼ確立され,比較的診断の容易な腺腫性ポリープも,時にⅠ型の早期癌との鑑別や癌化の問題,またポリポイド癌との鑑別に際して困難を覚えることがある.

 多くの症例が示すように,両者の鑑別や腺腫性ポリープの癌化の診断を確実に下だし得るものは胃生検でしかなく,しかも陽性データのみである.鑑別診断の困難な症例に遭遇し,しかも何らかの原因で胃生検を施行し得なかった場合,残された方法は症例の経過観察しかない.今回は初回検診で良性の隆起性病変と診断され,生検,手術を施行しないまま,6年間の長期観察を行ない,その間に非常に興味のある経過をたどり,最終的にはⅡa+Ⅱcの早期癌となった症例を経験したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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