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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻11号

1973年11月発行

文献概要

今月の主題 症例・研究特集 症例

結腸Polyposisを合併したMénétrier病の1例―胃瀰漫性polyposis兼巨大皺襞症

著者: 長野一雄1 佐野博之1 田原信一2 安田侑二2 森山裕2 高橋正宜3

所属機関: 1函館共愛会病院内科 2函館共愛会病院外科 3杏林大学病院病理部

ページ範囲:P.1475 - P.1482

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 臨床的に胃粘膜の巨大皺襞は,大別してただひだが大きいだけのもの,始めてMénétrierが唱えたような概念のもの,及び悪性腫瘍に関連のあるものに分けられる1).このうち良性の巨大皺襞を青山2),高木3)は巨大皺襞症と呼び,わが国では広く用いられるようになってきた.しかし,これが以前より学者によって種々の名前4)5)で呼ばれ,その診断基準や病理組織像についても随分相違する所に問題があった.Ménétrier病をめぐる従来の主な混乱は,巨大皺襞と本病との混同で,X線検査で認めるgiant rugae内視鏡検査で認めるgiant foldを組織像の裏付けもなくhypertrophic gastritisと呼んだものがあることもあって,両者を等しいとする見解が生じたものであり,現在Ménétrier病は巨大皺襞を示す疾患の一つであるが,原著者6)がもっとも力を入れている組織学的所見が具っていることが本症の条件となっている7)8).筆者らは最近,広汎な胃polyposisを伴った胃巨大皺襞症を経験した.血清蛋白動態は正常であったが,切除標本の検討などからこれがMénétrierのPolyadénomes polypeuxとPolyadénomes en nappeの併存例に相当することを知った.さらに本例にはS字状結腸,直腸にpolyposisを合併しており,Ménétrier病の場合の下部消化管病変については意外に報告が乏しいので多少の文献的考察を加え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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