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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻11号

1973年11月発行

文献概要

今月の主題 症例・研究特集 研究

内視鏡にて観察された十二指腸乳頭近傍の総胆管十二指腸瘻―胆石の自然脱落機序に関する考察

著者: 池田靖洋1 田村亮一1 岡田安浩2

所属機関: 1九州大学医学部第1外科 2福岡大学医学部内科

ページ範囲:P.1489 - P.1502

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 筆者らは,1971年4月から1972年12月の間に胆膵疾患を中心に200例の逆行性膵胆管造影を施行したが,そのうち11例の特発性内胆道瘻を経験した.その内訳は,総胆管十二指腸瘻9例(球部開口1例,乳頭近傍開口8例),胆のう十二指腸瘻1例,胆のう気管支瘻1例である(表1).

 胆石による胆道系の穿孔部位は,胆のうにもっとも多く,まれに総胆管,胆のう管,肝管にもおこるが,総胆管では十二指腸乳頭部附近にみられるものが多いと言われている.しかし,文献上,このような総胆管十二指腸瘻の報告は少なく,わずか数例をみるにすぎない1)~3).しかも,術前に確診されたものは皆無のようである.従来,レ線検査にて胆道内ガス像,あるいは,消化管透視の際バリウムの胆道内逆流があり,Oddi氏筋閉鎖不全症として報告された症例の中にも,とくに乳頭部の検索の不十分なものにおいては,このような乳頭近傍に開口する内胆道瘻をOddi氏筋閉鎖不全症と誤診している可能性もあると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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