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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻2号

1973年02月発行

文献概要

今月の主題 消化管の悪性リンパ腫 主題

胃悪性リンパ腫の内視鏡診断と生検

著者: 檜山護1 福地創太郎1 望月孝規2

所属機関: 1虎の門病院消化器科 2虎の門病院病理学科

ページ範囲:P.165 - P.176

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 胃に認められる悪性リンパ腫は,胃に原発する場合の他に,全身に拡がった悪性リンパ腫症の一つの局所変化として胃に発生する揚合もある.また胃原発の悪性リンパ腫が,他臓器に転移したり,全身性の悪性リンパ腫症に発展する場合もある.それゆえ胃に認められた悪性リンパ腫が原発性か否かにっいて臨床的に判定する事が必要である.悪性リンパ腫の中には放射線治療や化学療法によく反応するものが多く,胃に認められる悪性リンパ腫も同様であり,この点は胃癌の場合と異っている.本症の治療に当っては胃のみならず,他臓器,特にリンパ節への病変の拡がりの程度に基づいて,胃切除の適応を決定しなければならず,また術前もしくは術後の放射線および化学療法の併用を考慮せねばならない.従って胃の悪性リンパ腫を臨床的に診断する事は,正しい治療方針を確立するための前提である.従来より,胃の悪性リンパ腫と胃癌との鑑別は臨床的にはむずかしく,胃切除後,組織学的にはじめて診断が明らかにされることが多かった.しかしX線,内視鏡検査および直視下胃生検法の進歩と共に,胃の悪性リンパ腫の臨床的診断が,従来よりも容易になってきた.

 以下,虎の門病院における胃悪性リンパ腫の臨床診断の現状を述べ,内視鏡および生検による診断上の問題点を考察したい.また全身に拡がった悪性リンパ腫症の胃病変に対して,胃切除を行なわず,化学療法により著しく軽快した症例の経過を述べ,胃の悪性リンパ腫の治療上の問題についても検討したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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