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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻2号

1973年02月発行

文献概要

今月の主題 消化管の悪性リンパ腫 症例

小腸の悪性リンパ腫

著者: 中村裕一1 谷啓輔1 中村勁1 藤原侃2 増田信生2 南家邦夫2 八尾恒良3 渡辺英伸4 岡部治弥5

所属機関: 1福岡市医師会病院 2佐田外科病院 3九州大学第2内科 4九州大学第2病理 5北里大学内科

ページ範囲:P.209 - P.215

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 小腸原発の腫瘍は良性悪性ともに発生頻度は少く,田井1)は全消化管腫瘍の0.025~0.09%と述べている.中村2)は癌研での1946年から1968年までの23年間の腸管手術例中の悪性腫瘍は560例で,そのうち小腸悪性腫瘍は25例に過ぎず,胃,大腸に比較して非常に少い事を報告している.また本邦における小腸の癌と肉腫の頻度は略々同数であるが,肉腫のうち半数は平滑筋肉腫であるので,悪性リンパ腫の頻度はきわめて少い事になる2).消化管における悪性リンパ腫の分布について,Wood3)は小腸は胃,大腸の約2倍,M. S. Naqvi4)et al.は190例中胃116例(61%)小腸56例(30%)大腸18例(9%),Walter, J. Loehr5)et al.は胃63%,小腸25%,大腸10%と報告しており,全消化管の悪性リンパ腫のうち小腸は25~50%の頻度と考えられる.

 われわれは小腸に原発した悪性リンパ腫4例を経験しているが,全症例の病歴,他覚所見および手術または剖検所見等を一括して表1に示し,手術で切除可能であった症例1および2について詳述する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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