文献詳細
文献概要
今月の主題 消化管の悪性リンパ腫 症例
慢性回盲部腸重積を来した回腸末端原発悪性リンパ腫の1例
著者: 檜山護1
所属機関: 1虎の門病院消化器科
ページ範囲:P.227 - P.231
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臨床経過
31歳男性.扁桃腺炎を時々おこす以外に著患を知らない.昭和44年9月下旬,チクチクする腹痛を臍付近に感じたが,下痢や発熱なし.この症状は3~4日おきに繰り返されたが,11月23日夜間,腹部中央のキリキリする鋭い痛みを自覚し非血性の胃内容を嘔吐,赤黒い血液の混じた下痢が始まった.11月24目本院受診.初診時平熱,腹部は軟で腫瘤を触れず,貧血なく全身のリンパ腺に腫脹はない.急性腸炎の診断の下に行った細菌検査で,サルモネラ,シゲラ,結核菌は塗沫,培養とも陰性であった.11月28日の経口法消化管造影で限局性腸炎と診断し,サラゾピリン投与を開始.しかし症状の改善なく,発症来7kg体重減少あり,12月18日より副腎皮質ホルモンの投与を開始したが効果なく,12月29日腹痛強度となり昭和45年1月8日入院した.入院時腹部所見として右下腹部に腫瘤を触れ軽い圧痛がある.腫瘤は短時間でその硬度,大きさ及び位置に変化を見せ,腹痛の強い時に硬度の増す傾向があり,ブスコパン1~2A静注で硬度を減じた.ステロイド並に種々の抗生物質投与によっても症状の改善は見られず,1月16日,1月23日の各X線検査でも,病態は不変ないし進行性を思わせた.この間体重は更に7kg減少,貧血,低蛋白血症が出現したため,保存的治療の無効な限局性腸炎を老え,手術適応として手術準備を行いながら行った2月20日の注腸造影で回盲部腸重積の診断が得られた.ステロイドの離脱を開始,この間3月6日の大腸ファイバースコープ検査にて,重積先進部に腫瘍を認め二次性腸重積症と診断し3月10日開腹手術を行った.手術中の病理迅速診断で悪性リンパ腫と診断され,重積部を含んだ右半結腸切除術並にリンパ腺廓清が行われた.
臨床経過
31歳男性.扁桃腺炎を時々おこす以外に著患を知らない.昭和44年9月下旬,チクチクする腹痛を臍付近に感じたが,下痢や発熱なし.この症状は3~4日おきに繰り返されたが,11月23日夜間,腹部中央のキリキリする鋭い痛みを自覚し非血性の胃内容を嘔吐,赤黒い血液の混じた下痢が始まった.11月24目本院受診.初診時平熱,腹部は軟で腫瘤を触れず,貧血なく全身のリンパ腺に腫脹はない.急性腸炎の診断の下に行った細菌検査で,サルモネラ,シゲラ,結核菌は塗沫,培養とも陰性であった.11月28日の経口法消化管造影で限局性腸炎と診断し,サラゾピリン投与を開始.しかし症状の改善なく,発症来7kg体重減少あり,12月18日より副腎皮質ホルモンの投与を開始したが効果なく,12月29日腹痛強度となり昭和45年1月8日入院した.入院時腹部所見として右下腹部に腫瘤を触れ軽い圧痛がある.腫瘤は短時間でその硬度,大きさ及び位置に変化を見せ,腹痛の強い時に硬度の増す傾向があり,ブスコパン1~2A静注で硬度を減じた.ステロイド並に種々の抗生物質投与によっても症状の改善は見られず,1月16日,1月23日の各X線検査でも,病態は不変ないし進行性を思わせた.この間体重は更に7kg減少,貧血,低蛋白血症が出現したため,保存的治療の無効な限局性腸炎を老え,手術適応として手術準備を行いながら行った2月20日の注腸造影で回盲部腸重積の診断が得られた.ステロイドの離脱を開始,この間3月6日の大腸ファイバースコープ検査にて,重積先進部に腫瘍を認め二次性腸重積症と診断し3月10日開腹手術を行った.手術中の病理迅速診断で悪性リンパ腫と診断され,重積部を含んだ右半結腸切除術並にリンパ腺廓清が行われた.
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