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胃と腸ノート
胃底腺および幽門腺領域の識別とそれぞれの粘膜所見
著者: 井田和徳1 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学第三内科
ページ範囲:P.232 - P.232
文献購入ページに移動 胃粘膜は周知のように胃底腺領域と幽門腺領域の2領域からなり,その境界部は腺境界,境界領域,移行帯などと呼ばれている.両域の粘膜は組織学的にも機能的にも異なるためこの領域の状態を老慮することなく胃液分泌動態や慢性胃炎を正確に把握することは難しい,また,胃潰瘍や胃癌の発生および経過も各腺領域あるいは腺境界との関係から検討され,興味ある事実が報告されている.このように重要な問題を含む胃底腺,幽門腺領域を非手術材料で臨床的に認識できればと望むのは,ひとり筆者らのみではないであろう.
内視鏡的に両域を識別しようとする試みはすでに2,3なされている.竹本らは通常の胃内視鏡的観察から,幽門腺領域と体部腺領域との境界を指摘し,これを萎縮境界と称している.確かに幽門腺領域の粘膜は胃底腺領域のそれに較べて薄く,やや黄白色調で,しばしば血管像が透見できるなど,粘膜の萎縮性所見が目立っことから,その大略の範囲を知ることができるし,その境界部を観察することも少くない.しかしながら,その境界部の所見が非常に軽微であるために,観察の距離や方向などに左右され,必ずしも全例,全域にわたって認められるわけではない.
内視鏡的に両域を識別しようとする試みはすでに2,3なされている.竹本らは通常の胃内視鏡的観察から,幽門腺領域と体部腺領域との境界を指摘し,これを萎縮境界と称している.確かに幽門腺領域の粘膜は胃底腺領域のそれに較べて薄く,やや黄白色調で,しばしば血管像が透見できるなど,粘膜の萎縮性所見が目立っことから,その大略の範囲を知ることができるし,その境界部を観察することも少くない.しかしながら,その境界部の所見が非常に軽微であるために,観察の距離や方向などに左右され,必ずしも全例,全域にわたって認められるわけではない.
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