研究
内視鏡的膵管造影法による慢性膵炎診断へのアプローチ―術中膵肉眼診断および膵生検診断との対比
著者:
中島正継1
川井啓市1
多田正大1
島本和彦1
赤坂裕三1
光吉靖夫2
竹林政史2
菅原侠治2
加藤守彦2
所属機関:
1京都府立医科大学第3内科
2琵琶湖胃腸病院
ページ範囲:P.377 - P.384
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膵疾患を膵管造影により診断しようとする試みは,1951年Doubilet et al.1)の手術的経乳頭的膵管造影法に始まり,主として術中造影例による検討2)~19)と剖検例による基礎的検討20)~26)がなされてきた.しかし,術中膵管造影法は観血的方法であるため臨床的に広く一般化されるに至らなかったが,十二指腸ファイバースコープを用いた内視鏡的膵・胆管造影法(Endoscopic Pancreato-Cholangiography,以下EPCと略す)が一般の臨床検査法として応用されるに及び,非観血的に容易におこないうる検査法として急速に普及しつつある.本法は1968年McCune et al.27)の報告を最初とするが,本邦での十二指腸ファイバースコープの開発と共に大井28),高木29)らの報告以来,主として日本において発達した検査法である30)~37).われわれも現在までに206例にEPCを施行し,その有用性を報告してきたが38)~42),たしかにEPCは膵管と胆管を直接造影できる,しかも臨床的に比較的容易におこなえる優れた検査法である.とくに内視鏡的膵管造影法(Endoscopic Pancreatography,以下EPGと略す)は膵疾患に対する
有力な形態学的検査法として期待されるが,その診断能や診断基準(ことに慢性膵炎に対して)は現在なお明らかではない.
今回,われわれはEPGによる慢性膵炎診断へのアプローチとして,手術例におけるEPG診断と術中膵肉眼診断および膵生検診断とを対比し,EPGによる慢性膵炎診断の可能性を検討するとともに,膵生検で組織学的に確認された慢性膵炎例の膵管像を検討したので報告する.