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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻4号

1973年04月発行

胃と腸ノート

経皮経肝的胆道造影法(PTC)と内視鏡的膵胆管造影法(EPC)併用の有用性

著者: 中島正継1 川井啓市1

所属機関: 1京都府立医科大学第3内科

ページ範囲:P.500 - P.500

文献概要

 現在膵胆道系疾患の最も有力な形態学的診断法は,経皮経肝的胆道造影法(Percutaneous Transhepatic Cholangiography,以下PTCと略す)と内視鏡的膵胆管造影法(Endoscopic Pancreato-Cholangiography,以下PECと略す)である.両検査法とも膵胆道系に直接造影剤を注入する直接造影法であるが,造影範囲が若干異る.すなわち,PTCは細い穿刺針を肝内胆管に刺入し造影剤を注入する一種の排泄性造影法であり,主として胆道系が造影され,膵管は造影されないか,または造影されても極めて不充分である.一方,EPCは十二指腸ファイバースコープにて十二指腸乳頭を観察しながら細いチューブを乳頭開口部に挿入し,造影剤を注入する逆行性造影法であり,胆道はもとより膵管造影も可能であるが,いずれか一方(特に膵管)しか造影できない場合もある.またEPCはスコープを下行脚に挿入できなかったり乳頭を観察できない場合には造影不可能である.われわれは1972年7月までにPTCを100例に施行し89例(89%)に成功したが,肝内胆管の拡張例にはほぼ100%に,また拡張のない例でも85%以上に造影可能であった.しかしながら,PTCで膵管像を得たのは造影成功例の15%と少く,主膵管全体が造影されたのはわずかに1例のみであった.一方,EPCを120例に施行し99例(82.5%)に成功したが,最近4カ月間の60例では96%の成功率であった.その造影範囲の内わけは膵胆管造影55例(56%),膵管造影のみ38例(38%)および胆管造影のみ6例(6%)すなわち膵管造影は93例(94%)に,胆管造影は61例(61%)に成功した.

 両検査法とも安全に実施できるものであり,いずれか一法でも従来の検査法に比しはるかに優れた診断法であるが,両検査法を併用すればさらに診断能が向上するものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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