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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻6号

1973年06月発行

胃と腸ノート

大腸クローン氏病(Crohn's colitis, Granulomatous colitis)

著者: 小林世美1

所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科

ページ範囲:P.790 - P.790

文献概要

 従来日本人には,胃疾患が多く,下部消化管疾患は非常に少なかった.十数年前の著者の学生時代にさかのぼると,大学の講義で,大腸疾患についてあまり聞いた覚えがない.潰瘍性大腸炎の患者をはじめてみたのが,入局して3年目であり,消化器中心の著者の所属していた内科でさえも,この診断名のつくのが年に1~2例だった.1960年,Lockhart-Mummeryらの記載する大腸のクローン氏病一のちにLindnerがGranulomatous colitisと命名一は,全く耳にすることさえない疾患だった.だいいち,本家本元のRegional enteritis(クローン氏病)をみたことがないのだから,当り前である.

 ところが,卒業後7年目に機会を得て,シカゴ大学のDr. Kirsnerのもとへ行ってみると,GIカンファランスで,毎週のごとく,Ulcerative colitisかRegional enteritisの症例のDiscussionが行なわれ,ある所にはあるものだと痛感した,これらの疾患に十分お目にかかって帰国してみると,日本はやはり大腸疾患,ことに非特異性慢性炎症の砂漠地帯であるのを再認識せざるをえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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