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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻6号

1973年06月発行

症例

小児の潰瘍性大腸炎

著者: 小林茂雄1 西沢護1 野本一夫2 狩谷淳2 林学2 水野幸一1 間山素行1 篠塚忠1 数馬欣一3 林竜哉3

所属機関: 1千葉大学医学部第1内科,千葉県がんセンター 2千葉大学第1内科 3千葉大学小児科

ページ範囲:P.807 - P.811

文献概要

 潰瘍性大腸炎は,その本態,および成因について,明確な定義はなされていないが,1903年Boas1)がColitis ulcerosaと記載して以後,―独立疾患とみなされるに至った.本邦においては,1928年稲田2)が,重症大腸炎として報告以来,数々の報告がなされ,詳細は松永3)により,第55回内科学会総会の宿題報告として,259例についての検討がなされている.小児科領域での本症は,比較的稀な疾患4)で,欧米では,Helmholz5)によれば,Logan6)による1例報告が最初のようであり,本邦では,1952年中山7)による乳児の剖検例が報告されている.われわれは,最近小児の潰瘍性大腸炎の経過観察をする機会に恵まれたので,ここに報告する.

症例

 患 者:11歳6ヵ月,男児(長男).

 主 訴:下血.

 家族歴,既往歴:特になし.

 現病歴:当科初診の約1年位前より,有形便周囲に鮮血が附着する事に気付いたが,近医にて痔といわれ,坐薬を使用してしばらく止まっていた.7カ月前頃から前回同様の下血が始まり,薬物療法を受けるも軽快せず,貧血増強したため,他病院へ転院し,諸検査の結果潰瘍性大腸炎の疑いにて,ステロイド投与,ACTH,輸血等を受け,下血は止まった.しかし,ステロイドを中止したところ,高熱並びに下血が始まり,次第に増強して来たので,千葉大学附属病院小児科へ入院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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