文献詳細
短報
唾液腺とガストリン
著者: 竹内正1 竹本忠良1 谷礼夫2 三輪剛2
所属機関: 1東京女子医科大学・消化器内科 2国立がんセンター病院内科
ページ範囲:P.886 - P.886
文献概要
消化液を外分泌する消化管が内分泌作用をもつていることはすでに周知の事実であるが,わが国では1928年緒方知三郎博士らによって唾液腺の内外分泌に関する研究が病理学的な立場から始められた.その後,牛の唾液腺抽出液からの分画精製によって実験動物の歯と骨の発育促進作用と,血清カルシウム量の低下作用を測定することによって,有効成分の分画をとり出している.これをparotinと命名した.17種のアミノ酸からなる分子量132,000のグロブリン性蛋白質であるといわれているが,単一の化学物質ではないらしい.このような唾液腺内分泌説に対して疑義がないわけではない.抽出されたホルモンについて,標的器官が不明確であること,化学的に単一のものとして示されていないことなどから,ホルモンと呼びうるものかどうかも問題となろう.従って,消化管ホルモンとしての位置づけができない状態である.
掲載誌情報