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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻7号

1973年07月発行

文献概要

研究

消化管出血に対するアンギオグラフィ

著者: 佐々木常雄1 金子昌生1 石垣武男1 木戸長一郎2

所属機関: 1名古屋大学医学部放射線科 2愛知県がんセンター病院放射線診断部

ページ範囲:P.919 - P.925

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 消化管出血の場合の診断法としては,急性出血時においても積極的にVigorous diagnostic approachと呼ばれる方法が実施されるようになった.すなわちX線検査,内視鏡検査などの検査法であり,これらの著しい進歩により容易に実施されるようになり,患者の状態の許すかぎり出血源の確認に努力しつつあり,確認率は向上してきている.しかし,これらの検査法を実施してもなお出血部位を見出すことが困難な場合があり,その頻度は20%程度といわれている12).これは次のような事柄に起因するのではないかと考えられる.まずX線検査の問題点としては,バリウムによる造影,空気注入による二重造影を行う際,患者の状態が良好でない場合には胃部の圧迫,体位変換など外力が消化管壁に加わり,その機械的刺激により出血を増悪させるおそれがある.また出血部位には造影剤の付着が理想的に行われ難く,凝血塊などに被われ,判読を誤まるおそれもある.その他,術者の熟練度によっては出血部位の描出が不完全であったり,判読を誤まったりすることが考えられる.次に内視鏡検査についてはX線検査に比べて表在性の変化を出血といった色彩の変化として描出できる点はるかに優位である.しかし,患者の状態によっては無理な体位変換を行わせられないこと,出血中は生体の防禦反応として消化管壁は緊張して止血しようとしているので,この時期には抗コリン系鎮痙剤の投与は通常の検査の場合のように考えないなどの制約がある.しかしそれにも拘らず上部消化管出血の診断ははるかに向上してきている.

 ここでは私共の経験した選択的血管造影による出血巣の描出からその意義について検討したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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